平成二十五年度 卒業式 式辞

2014年3月11日

3月になりましたが、
春にはまだ日が浅く
寒さが残っています。
2月は幾度も大雪に見舞われ
授業ができずに
休校になった日が
何日かありました。
本日巣立ちの日を迎えた
高等部大学部の皆さん、
卒業おめでとうございます。
 
今、皆さんに手渡した
自然学園の卒業証書には、
在籍中に履修した
全ての学習を
修了したという証だけではない
卒業生の皆さんが
社会に参加するうえで
必要なスキルが身についている
という合格証書としての
思いを込めています。
自然学園では、
1年生から
キャリア教育を推進して、
「自分には何が向いていて、
何ができるのか。」
「働くことに意義はなにか。」
「働くとは具体的には
どういうことなのか」
について就労体験を通しながら
具体的に考えさせ、
自分なりの答えが
導き出せるような
キャリア学習に関して
3学年を通した
継続的な指導で
実践しています。
そして最終的な教育目標を
将来的な自立と定めています。
高校卒業資格に結び付く
単位認定の学習も
大切なことですが、
微分積分や
三平方の定理ができても、
世の中では
何の役にも立ちません。
むしろ
彼らが実習を通して経験し、
身に付けたことこそが、
自立するために必要な
ソーシャルスキルであり、
生きる力なのです。
本日卒業を迎える
子どもたちの中には
小学校や中学校に
授業がついていけない、
いじめにあった等の理由で
登校できなくなった
子どもたちがいます。
そのなかで
3年間変わらない気持ちで
自然学園に登校し続けた卒業に
私は本当に
頭が下がる思いでいます。
高等部の皆さんは、
3年間の中では
いろいろなことが
あったと思います。
試験が嫌で
逃げ出したくなった
子どもたちもいるでしょう。
友達とけんかして
登校したくなかった朝も
あったでしょう。
自分の特性である
衝動性やパニック性の
強さと向かい合って
必死に自分の高ぶる気持ちを
おさえようと努力していた姿を
見過していたわけではありません。
何度も君が流した悔し涙を
理解していなかった
わけではありません。
慣れるまで
時間がかかる子どもたちは、
1年生の1学期は
本当につらかったことでしょう。
皆さんがどんな思いで
いやな勉強に
取り組んでいたか、
毎日の授業に出ていたのか
私には皆さんの頑張りが
痛いほどわかります。
皆さんが
小学校や中学校時代に
学校生活の息苦しさで
どんなにつらい思いをしたか、
自分をわかってもらえないことで
どれだけ苦しかったか
想像に難くありません。
皆さん自然学園に入学する前に
共通して抱えてきたつらさは、
自分を理解されない思い
だったのではないでしょうか?
そんな皆さんが
堂々と今この時を迎えています。
人は自分の意思があれば
なんどでも生まれ変われます。
自分の思う人になれるのです。
そのことを実践した皆さんのことを
私は目を細めてみています。
そして誇りに思っています。
そしていままで支えてくれた
お父さん,お母さん
自然学園の先生たちを
決して忘れないでください。
この事実を重く受け止めて
胸を張ってこれからの
それぞれの人生に
羽ばたいてください。
2月23日で
2014年
ソチ冬期オリンピックオリンピックが
終わりました。
スノーボードハーフパイプで
総合8位に入賞した
角野友基選手は
小学校からいじめに遭い
まわりから孤立して、
スリッパなど隠された
陰湿ないじめを
長期間受けていたそうです。
女子モーグルの上村愛子選手は
小学校の時、
転校してきてから
中学校の最初まで
ずっといじめを受けていて、
スキーのグローブに
雪が詰められて
洗濯機に放り込まれていたことも
あったそうです。
このような体験は
皆さんも一度は経験したことが
あるのではないですか?
人は個性的であったり、
自分と違うところや
違う価値観を持っている人を
排除しようとします。
自分より劣っている人を
からかいの対象にして
自分の優越感を
満たそうとします。
それは、
人ひとり一人が
不安で孤独だからです。
人と違うことや
個性的なことは
決して悪いことではありません。
人には誰でも
得手不得手はあります。
発達障害とは、
できることとできないことの
差異から生じる息苦しさです。
手先の器用な人、不器用な人。
文字や記号で
物事を考えたりすることが
得意な人、苦手な人。
文章を書いたりすることが
得意な人、苦手な人。
耳から聞いた方が
注意の残りやすい人、
話を聞くことが苦手な人。
人前で話をすることが上手な人。
みなさんのなかにも
いろいろな人がいるはずです。
偏りはあるものの
一つ抜きでた才能を
持ち合わせている特徴は
皆さんに感じられるものです。
だからこそ
何度かの挫折にくじけないで、
皆さんが得意とすることや
好きなことを
突き詰めようと努力すること、
そしてそのことを
継続することが
必ず適正にあった仕事に
巡りあうための
大切なプロセスになり、
その仕事を
天職と思えば
必ず結果がついてくるでしょう。
大学部の卒業生の皆さんは
いよいよ社会に
参加していくことになります。
掃除の仕事を与えられた人は
あなたがいなければ
気持ちよく一日が過ごせないと
思われるぐらい、
あなたの清掃サービスを
受ける方々から
思われる仕事をしてください。
コンピューターの仕事に
従事する人は
誰よりも
成果にデーターを入力し
なるべくミスを
少なくすることで
周りの人たちに
信頼を受ける仕事をしてください。
大きな成果を残すことだけが
すべてではありません。
自分にできることを
愚直なまでに
心を込めて遂行すること、
このことこそ
私の好きな言葉である
「一隅を照らす」
という意味なのです。
そして一人でも
あなたがいなければ
困る人がいるような
仕事をしてください。
思えば
あっという間の三年間でした。
高等部の皆さんの学年は、
例年より
生徒数が少なかったので、
どのクラスより
クラスメートのことを
大切にする
団結力のあるクラスでした。
ひとり一人が
クラスメートの特徴を理解し、
自分出来るところは
手を差し伸べ、
できないところは
助けてもらいながら、
心を一つにして
クラスごとの取り組みや
学校行事に
全力で立ち向かっていく
勇敢な姿が
印象深い学年でした。
大学部の学生の皆さんとは、
今年度のサマーキャンプ、
昨年度のサマーキャンプに同行し、
あなた方に苦手な
コミュニケーションスキルを
獲得するために、
グループワークを
へとへとになるまで
取り組みましたね。
必死に
自分の気持ちを伝えようとする
ひたむきさに
心を打たれました。
特例子会社への
就労実習の最後の反省会で
他者に対する
コミュニケーションの少なさを
指摘されたときは
一緒にうなだれて
帰ったことを
思い出します。
でも
決して気持ちだけは折れなかった
君たちを誇りに思います。
いつか皆さんにお話しした
ノートルダム清心学園理事長である
渡辺和子先生の
『置かれた場所で咲きなさい』
で記された
「自分自身も含めて
その人のありのままを
受け入れること
そして、
自分の置かれた境遇や
自分自身のつまずきを
ありがたく両手で受け止めて
その花を咲かせなさい」
というお言葉通り
立派にひとり一人が
自分だけの花を
みごとに咲かせてくれました。
最初は
自分のつまずきを
受け入れられなかった人も
いたと思います。
「なんで自分だけ悪いんだよ」
と怒られることに
納得できなかった人も
いたと思います。
また必要以上に委縮して、
自分に自信が持てず
何事も消極的になっていた人も
いるでしょう。
またそのコンプレックスから
わざと自分を大きく見せようと
人前で構えてしまっていた人も
いるでしょう。
今私の前で咲いている花々は、
誰かを意識することなく
等身大で咲き誇る
自然の強さと美しさを兼ね備えた
花束です。
みんなが自分のすべてを受け入れ、
受け止め、
勇敢に今を生きる
そんな素晴らしい大輪を
咲かしてくれました。
さあ、卒業生の皆さん。
羽ばたきの時です。
胸を張って、
笑顔で飛び立ってください。
それぞれの人生において、
大いに学び、
大いに体を鍛え、
心を豊かにしてください。
ぼんやりしている暇はありません。
我が儘をいって
だだをこねている暇だって
ありません。
もちろん、
不安なとき
心が弱くなったときは
家族に支えてもらいましょう。
今こそ
家族の絆の深さを
実感するときでもあります。
日本の国は、
あなた方の成長を
必要としています。
ぜひ、
それぞれの
得意なところをいかして、
奮闘してほしいと願います。
君たちは
わたしたちすべての
希望なのです。
今、みなさんの前途は
晴れ渡っています。
自信をもって
堂々と歩んでください。
ご卒業おめでとうございます。
 
 平成二十六年三月九日
     自然学園学園長  小林 浩
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