自閉症の新たな治療につながる可能性② ~オキシトシンの効果~

2014年1月30日

「2005 年、
スイスチューリッヒ大学経済学研究所の
コスフィールドらにより
健康成人男性へのオキシトシン投与により、
“他人への信頼”が増加するという
神経経済学的手法を用いた論文が発表された。
愛・信頼・認識に基づいて行われる
社会全体の活動、
政治や経済を含めた人の行動の基盤に、
オキシトシンが重要な役割を
果たしている事が言い出され、
そういった課題を
神経学や生物医学的に
解明されるようになってきた。」
「自閉症と
オキシトシンとの関係性でいえば、
まだ研究が始まったばかりだが、
自閉症者の血中オキシトシン濃度が
ほんのわずかばかり低い事が報告された。
また、虐待を経験した母親の濃度も
そうでない母親に比べて低い事が報告された。」
「人と人の間に形成される信頼や愛、
あるいは人間の活動
(経済,政治,社会,家庭)の
生物学的基盤に
オキシトシンが重要であることが分かってきた。
オキシトシン系の障害が
自閉症の一原因であると言っても良いような
データの蓄積がなされてきた。
もちろん、神経内分泌学的方法や研究のみで、
自閉症が解決できるわけではない。
しかし、オキシトシンを治療に使うことも、
改善の効果が多少あるだけに、
世界的に関心がもたれている事も事実である。」
以上が
脳と科学で掲載された
金沢大学子どものこころの発達研究センターの
東田陽博先生、棟居俊夫先生の
『オキシトシンと発達障害』の論文からの引用です。
今回の研究発表を行った
東京大学のホームページからの引用を
以下に示します。
「今回の研究成果をもとに、
オキシトシンの点鼻スプレー製剤を活用して、
これまで確立されていなかった
自閉症スペクトラム障害における
対人コミュニケーション障害の治療法開発に
取り組んでいます。
まず、実験室内で見出した
今回の1回の投与による効果が、
連日投与を続けた場合にも認められ、
日常生活においても
役に立つのかを検証する必要があります。
この検証のために、
東京大学医学部附属病院では
自閉症スペクトラム障害の方
20名の協力を得て、
オキシトシンの点鼻スプレーを
6週間投与の効果を検証する
臨床試験を既に行っています。
今後はこのデータを解析した上で、
有効性と安全性を検証し、
日常診療で使用するためには
さらにどれだけの方に
臨床試験に参加して頂けば良いかを
算出する予定です。
同時に、
これまで生活場面における
対人コミュニケーション障害の
重症度が時間的に変化していく様子を
客観的に評価できる方法がなかったため、
その評価方法の確立にも取り組んでいます。
また、今回対象としなかった
女性や幼少期の方についても
さらにオキシトシンの有効性や
安全性を検証する必要があります。」
この記事が掲載されてから
何人かの保護者の方々と
お話しする機会がありましたが、
保護者の方々は
当然興味深く注目しています。
保護者の方々は
現在の主治医の指示に従い、
継続的な療育や
今行っている学習プログラム、
ソーシャルスキルトレーニングに励むことを
前提としてください。
そしてこのような取り組みの
安全性と使用基準が
わが国でも認められ、
制定されることで、
近い将来すこしでも
発達障害が理由で
社会参加が遅れている方々に
役立つ処方箋になることを
心から期待します。
               自然学園学園長 小林浩
          『バンブーだより1月号』より抜粋
illust221.png

タグ: , ,
お問い合わせはこちら
  • カテゴリー
  • タグ