[バンブー便り10月号]学園長ブログ~可能性の扉~④-1

2016年12月19日

4 発達障害者に対する合理的配慮

平成26年障害者権利条約が批准され、平成28年4月障害者差別解消法が成立し、障害者が働く事業所では合理的配慮規定等が施行されるようになりました。すべての障害をもった人たちがその障害によって差別を受けることなく働くことができ、その障害のつまずきを考慮した合理的な配慮を実施することで障害者がその障害が原因で不利益になることなく、精神的な負担をかけずに職務に従事できる職場環境を提供しなければならない、という規定が成立し、障害者を抱える事業所を持つ企業はその法律に準ずることが義務付けられています。それにともない国公立の学校では障害者基本法における「可能な限り障害者である児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮」を供給することが義務となり、主に①環境 ②指導法 ③(子供の成績の)評価方法における合理的配慮が求められています。とくに発達障害がある生徒が在籍する通常級の対応として、特別支援教育が必要な生徒に対して具体的な3つの柱に沿った合理的配慮が規定され実施することを義務づけた形になっています。

第8回の自然学園定期講演会でも、このような規定を受けて発達障害者を採用している事業所を持っている企業では、どのような合理的配慮の実施を考えているのかということについて、多くの企業から障害者就労の相談を受け、実際に多くの企業のアドバイザーを務めている松為先生のお立場から、企業で実施されている具体的な事例を自閉症スペクトラム、ADHD、LD、アスペルガーなどの診断名の特徴別に細かく説明していただきました。

そして事業所である企業に入社を希望している発達障害者はどのような心構えで就職活動に臨まなければいけないのか。またそのための準備のためにしておかなければいけないこと、スキルとして身に付けていなければいけないこと。それに対して家庭で身に付けなければいけないこと、学校や障害者就労支援事業所等で身に付けるべきことを詳細にアドバイスしてくれました。本来、家庭での生活の中で身に付けなければいけない基本的な生活習慣や社会性、人との関わりが企業の採用基準における不可欠な条件であることは、定着支援をはじめ、体験就労を受け入れていただくうえでの企業の方々との連携を通じて実感していたことなので、非常に共感した内容でした。

このようなお話をお聞きしても、発達障害者の方々の企業での受け入れや雇用機会の拡大はますます発展していくように感じています。2005年から施行された発達障害者支援法が10年を経過して、より発達障害者が社会に参加しやすくなるような法律改定の動きがあり、今年の5月に発達障者支援法が改正されました。
障害者雇用促進法の改定が行われ、発達障害者が精神障害者保健福祉手帳の取得によって障害者雇用での就労が可能になっていますが、改定案の一つには、発達障害者専門の手帳の発行を検討する項目も含まれているようです。

お問い合わせはこちら