[バンブー便り10月号]学園長ブログ~可能性の扉~④-2

2016年12月22日

平成26年の法定雇用率を達成した企業の割合は44.7%、実雇用率も1.82%と過去最高を記録しました。雇用障害者数は43万1,225.5人で、前年と比べて5.4%も増加しています。また、平成26年度では精神障害者の就職件数が身体障害者の就職件数を大きく上回りました。このことも発達障害者支援政策が推進されている一つの現象だと思っています。
発達障害者支援法施行以前、平成16年障害者種別就職件数の推移では、身体障害者の雇用率は障害者雇用全体の約64.1%で、精神障害者の割合は10%にしかすぎませんでした。知的障害者の割合は25.4%でした。それが平成25年では、身体障害者が36.3%、知的障害者が22.7%で精神障害者が37.8%と、大幅に上昇しています。これは、精神障害者の種別に発達障害者を加えた結果であると判断できます。知的障害者の雇用が減少傾向にある理由の一つは、知的障害者を対象にした特例子会社を含む事業所の数が頭打ちになり、精神障害者に含まれる発達障害者や自閉症スペクトラム傾向がある軽度の知的障害者を積極的に採用している企業の割合が多くなったことが挙げられると思います。

従来の精神障害者の中心は統合失調症や鬱などの精神疾患を抱えた人たちでした。
そのような人たちのほとんどは、通勤することに困難さを伴う症状がある人たちなので、企業が雇用するには、難しい人たちでした。
現状としては、身体障害者の雇用が難しくなっている現状があります。それは、身体障害者の81%が60歳以上の高齢者だからです。

このような状況を踏まえ、これからの障害者雇用の主役は身体障害者に代わって精神障害者になるだろうと言い切る企業が多くなってきています。当然、その対象は発達障害者であり、採用に積極的に舵を切っていくだろうと予想されます。第8回の松為信雄先生の定期講演会でも、精神障害者の雇用が企業に義務付けられる平成30年度以降は発達障害者の雇用は売り手市場になるだろうとおっしゃっていました。

このような採用状況を見てもわかるように、知的障害者の雇用がますます狭くなると予想されている現状で、バンブー教室に在籍している生徒の保護者の方々はどのような進路を選択していいのかお悩みになられている方々が多いようです。その中で確実に就労に結び付く進路を選択したいとお考えの、療育手帳をお持ちの知的なつまずきがある生徒の保護者の場合、職業科がある高等特別支援学校を進路としてお考えになる方々が多いように思います。この現象によって就職実績の高い高等特別支援学校の入試を考えている人たちが多くなり、その特別支援学校の入試倍率は上昇していくことが予想されます。この動きにともない試験内容も難易度が上がっているように思われます。今回は今年度のさいたま桜高等支援学園の入学説明会に参加した際のレポートを特集として掲載していますので、入試をお考えになっている人は参考にしてください。自然学園では昨年同様高等特別支援学校の入試対策クラスを設定して、全員の合格を目指して取り組んでいます。入試を考えている人たちはこれからが本番です。最後まで粘り強く頑張ってください。

また今回お話しした状況のなかで、療育手帳が取得できない発達障害がある中学生も特別支援学校の進学だけが就労できる進路ではないとお判りになったと思います。学力的に能力にあった自身の学習意欲を満たすことができる、無理なく通えそうな高校や、興味がありやってみたいと思う学科がある高等学校の進路を、通信制や全日制の公立私立問わず選択することも、視野に入れていい状況になっているのではないかと思っています。
そのような生徒の皆さんに対応できるような入試対策授業や、中間期末試験対策にも力をいれています。進路にまだお迷いの方々はぜひ相談を申し込んでください。

自然学園学園長 小林 浩

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