[高等部通信1月新年特別号]学園長より~可能性の扉~5-2

2020年2月14日

(2)ワーキングメモリを改善する方法について
一般的ワーキングメモリの困難さを改善させるには、「ワーキングメモリをトレーニングすること」と「ワーキングメモリを開放すること」の二つがあります。
ワーキングメモリを向上させるためのアプローチは、ワーキングメモリそのものを鍛えることだけではありません。ワーキングメモリを解放してあげることも有効です。

もともと容量が少ないワーキングメモリに、次から次へと情報が送り込まれると、先に入った情報からどんどん出ていってしまうのです。ワーキングメモリが圧迫されると、大事な情報を思い出せなくなったりミスを犯してしまったりします。言い換えれば、不要な情報を外へ出すことでワーキングメモリに空きを作れるということです。ワーキングメモリをうまく解放すれば、記憶力や仕事の処理能力をアップさせられるのです。
まず、ワーキングメモリを解放するには、メモを取ることが有効です。人はメモを取った情報を忘れるので、気になったことをメモに取らず頭に残しておこうとすると、ワーキングメモリが圧迫されてしまいます。

必要な情報は、できるだけこまめにメモに残しておくことで、情報を脳内からメモ帳に移せば、情報をワーキングメモリから追い出せ、空きを作ることができます。メモさえ取っておけば、忘れた情報は後で思い出すことが可能です。どんどんメモを取り、どんどん忘れていいと言う気持ちがワーキンングメモリの解放になります。
また、仕事がうまくいくか不安だ、人間関係で心配事がある、といったように悩みや不安を抱えている場合、ワーキングメモリは不安で満たされた状態です。ワーキングメモリの容量が不安でいっぱいだと、目の前の仕事や勉強に集中することができません。不安は紙に書き出し、ワーキングメモリから追い出すことが不安の減少につながります。

ワーキングメモリを解放するには、脳を休息させることも大事です。ワーキングメモリ内の情報が過多となり圧迫されると脳の機能が低下し、集中力や仕事のスピードが低下したり、ミスをしやすくなったりしてしまいます。
 
2つめの改善方法としてワーキングメモリをトレーニンングすることが挙げられます。
ワーキングメモリは、日常生活を送るだけでも鍛錬することができます。ワーキングメモリは会話や料理、買い物などで使われているので、健全に日常生活を送っていれば十分に鍛えられるとのことです。適度に体を動かし、料理をしたり、掃除をしたり、人と楽しく話したりすることが重要です。食事の際にかむ回数を多めにするのも効果的だといわれています。

ワーキングメモリを鍛えるために、前頭前野の活性化という方法があります。ワーキングメモリを担っている前頭前野は、論理的・合理的に考えたり、記憶したり、感情をコントロールしたり、判断したりする働きをします。以下の方法で前頭前野を刺激・活性化させ、ワーキングメモリの向上を図りましょう。

神経内科医の米山公啓氏が提唱する、ワーキングメモリを鍛えるための7つの方法です。1.新聞を読解し、印象に残った単語を4つあげる。2.電車の吊り広告を見て覚え、単語を思い出す。3.会話中の内容を記憶するように聞く。4.新曲を覚えカラオケで歌詞を見ずに歌う。5.読書や音楽鑑賞の際に、頭のなかでイメージをつくり出す。6.いずれも出来事すべてではなく、3つだけを記憶する。7.いずれも記憶する際、楽しく記憶しドーパミンを出して脳を元気にする。などがワーキングメモリを改善するために有効な方法だと研究されています。

お問い合わせはこちら