[高等部通信1月新年特別号]学園長より~可能性の扉~⑥

2018年2月13日

6、自然学園におけるSSTの考え方

保護者の方々にご相談を受ける内容として最も多いものは、人とのかかわりに関する悩みだと思います。「対人的な緊張で自分の気持ちがうまく伝えられず、ぎくしゃくした振る舞いになってしまう」「うまく挨拶や謝ることができない」「友だちをうまく誘えない、うまく友だちの仲間に入れない」「乱暴な言葉が多く、ルールを守れないことでトラブルが多い」「言葉のキャッチボールが苦手」などがあります。

幼児期に最初に経験する家庭以外の社会的な結びつきは保育園や幼稚園の入園だと思います。そのなかで「みんなと一緒に遊ぶことができない」「お遊戯がみんなと一緒におどれない」「みんなと一緒に先生の話を聞くことができない」「いつも落ち着かない」等の理由から先生方に指摘を受けることで、発達のつまずきに気付かれる保護者の方々が多くいると思います。発達のつまずきに対する療育は、保護者の方々がお気づきになった段階でなるべく早く開始した方がいいと思っています。発達障害のお子様のこれらのつまずきは①認知機能の弱さ②身体的不器用さ③融通の利かなさ④感情理解の乏しさ⑤対人スキルの乏しさ⑥不適切な自己評価などの特性からくることが多いと言われています。

「ソーシャルスキル」とは 対人関係や集団行動を上手に営んでいくための技能(スキル)のことです。言い換えれば、対人場面において、相手に適切に反応するために用いられる言語的・非言語的な対人行動のことで、その対人行動を習得する練習のことを「ソーシャル・スキル・トレーニング」といいます。

私は、自然学園において、このような時代を写す鏡のように、その必要性を肌身で感じています。自然学園では、上記した現状がある子どもたちにおいて、一人一人の彼らの抱えたつまずきを理解して、まずは学習面においての「できる」を経験させてあげたいと思っています。『できる』の積み重ねが少しでも積極的に行動する意欲につながり、自分のつまずきやできないことに向き合い、失敗したことは素直に謝れる勇気に結び付けてあげたいと願っています。このことがソーシャル・スキル・トレーニングの原点であり社会に適応できる力になります。

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