[高等部通信10月号]学園長より~可能性の扉~③

2016年4月1日

3、第2回 体育祭

10月11日(日)に自然学園は体育祭を開催しました。昨年は台風の影響でグランドの使用が出来ずに体育館での開催になりました。低気圧の影響で、開催日が近づくにつれて、天気予報では雨模様の予報が大方を占め、当日は小雨に見舞われてしまいました。

 会場をお借りした、八木崎小学校の校長先生をはじめとして、先生方のご厚意で体育館とグランドをお借りすることができたので、予定通り開催にこぎつけることができました。

当日の生徒の皆さんのことを第一に考え、この日のために練習を重ねてきた人たちのため、金曜日の段階でグランド使用プログラム、体育館の使用プログラム、雨が止んだ時のための体育館、グランドの併用プログラムの3つのプログラムパターンを用意し、どのようなグランドコンディションでも切り替えられるように、先生方は準備していました。

小雨が午前中にやみ次第、午後からのグランドが使用できるようなら、出場希望者を募った持久走と選抜リレーは実施しようと考えていました。皆さんの思いが叶い、朝からの雨はほとんど気にならない程度になり、グランドを使用した競技ができました。念願だったグランドでの体育祭をやっと実施することができ、私の夢がかないました。

いつのことか忘れてしまいましたが、自然学園の生徒の皆さんに、「いつかは自然学園の子どもたち、みんなが参加できる『体育祭』を実施したい」と、お話しした際にみんなの「え~」と言うどよめきを今でも覚えています。

その時から自然学園に通っている間に、どよめいた人たちが、「体育がたのしい!」「体育祭が待ち遠しいな!」そんな気持ちに変わってもらえるような学校になれたらいいと私はずっと思っていました。体育が苦手な人、運動会や体育祭にあまりいい思い出がない人が、本校にたくさんいることを、私自身が一番よく知っています。そんな子どもたちも体育の授業で楽しさを実感するにつれて、体育の授業を待ち遠しいと思う生徒が多くなっていると聞いていました。

今回も、体育を苦手としている人たちも、体育祭が近づくにつれて練習にも熱が入ってきたと聞いています。私は生徒の皆さんに勝ち負けにこだわらず、負けても次に勝てばいいという気持ちを持ち、決してあきらめない精神を持ち続けて、どの生徒も全力で取り組んでほしいと話しました。

体育館で実施した障害物競走は、ゴール前、障害物を乗り越えた地点に私が待ち構え、私にじゃんけんで勝たないとゴールにたどり着けないゲームを体育の先生に考案してもらいました。このゲームは、身体的な能力が問われる競技ではありません。決してあきらめない気持ちを持った人たちが多い組が勝ち残れる競技です。そういう意味では最も自然学園の理念を組んだ競技であったと思っています。じゃんけんに負けても全力で障害物まで戻ってやり直す生徒を前にして、私は皆さんをとても誇らしく思いました。

自然学園の生徒一人ひとりは、将来的に大きな可能性を秘めています。そして、定型発達の子どもたち以上に優れた認知能力や行動能力、暗記力、運動能力を秘めています。

それがすべての場面で発揮される訳ではなく、その能力に偏り、凸凹があり、それぞれの子どもたちの情報の処理の仕方によって、個性があり、優位性の違いがあり、その場面、場面で発揮される能力にできることや、できないことがはっきりしているのです。

暗記能力も興味の偏りによって左右され、興味のないことにはまったく興味を示さない子どもたちも多いのです。運動能力においても、走ること、投げること、高く飛ぶことなどの能力は非常に高い能力を有しているのに、ボール運動や、ルールのある集団競技ではまったく対応できない子どもたちもいます。

しかし、この体育祭でのお子様をご覧になって「こんなこともできるのか!」「何でこんなこともできちゃうんだろう」と、思ったことのある保護者の方も多いのではないでしょうか。

だからこそ、私は、保護者の方々には、決してあきらめてほしくないのです。お子様の現状を把握するのは大切なことです。ですが、あきらめてしまうことは、決してしてはいけない事です。保護者の皆様のご理解のもと、こんなに素晴らしい体育祭が開催することができました。ありがとうございました。

(つづく)

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