[高等部通信10月号]学園長より~可能性の扉~⑤

2016年11月22日

5、第8回自然学園定期講演会

自然学園では秋分の日の9月22日に前号でお知らせした自然学園定期講演会を行いました。当日は台風20号の余波を受けて朝から土砂降りの雨模様。それにもかかわらず当日のキャンセルされたお客様は何人かで、当日受付のお客様も多数お越しになっていただき予定を上回る盛況な会場に真剣な眼差しの熱気にあふれた講演会になりました。

定期講演会の講師を務めて頂いた松為信雄先生は日本の第一人者というべき障害者就労の研究者でありスペシャリストで「1億総活躍社会の実現」に向けた具体策を話し合う「一億総活躍国民会議」の民間議員15名の1人として就任されていて国家のために尽力されています。また東京都で採択が決まった高等学校の通級学級の実現に向けてスーパーバイザー的な役割を果たしています。
当日は発達障害者の企業就労に対しての現状と家庭や学校を含めた支援機関はどのような支援が必要なのか?当事者はどのような意識で就労に臨まなければいけないのか?を理論的にわかりやすく具体的かつ現実的な話をして頂き、会場にお越しになった方々は非常に参考になられたと思います。
平成26年障害者権利条約が批准され、平成28年4月障害者差別解消法の成立により障害者が働く事業所では合理的配慮規定等が施行されるようになりました。すべての障害をもった人たちがその障害によって差別を受けることなく働くことができ、その障害のつまずきを考慮した合理的な配慮を実施することで障害者がその障害が原因で不利益になることなく、精神的な負担をかけずに職務に従事できる職場環境を提供しなければならない。という事が明記された規定を説明していただき、このような規定を受けて発達障害者には、どのような合理的配慮の実施を考えているのか?多くの企業から障害者就労の相談を受け、実際に多くの企業のアドバイザーを務めている松為先生から具体的な事例を自閉症スペクトラム、ADHD、LD、アスペルガーなどの診断名の特徴別に細かく説明していただきました。
事業所である企業に入社を希望している発達障害者はどのような心構えで就職活動に臨まなければいけないのか。またそのための準備のためにしておかなければいけないこと、スキルとして身に付けていなければいけないこと、それに対して家庭で身に付けなければいけないこと、学校や障害者就労支援事業所等で身に付けるべきことを詳細にアドバイスしてくれました。本来、家庭での生活の中で身に付けなければいけない基本的な生活習慣や社会性、人との関わりが企業の採用基準にしている採用における不可欠な条件であることは企業の方々定着支援をはじめ、体験就労の受け入れていただくうえでの連携を通じて実感していたことなので非常に共感した内容でした。

雨の中お越しになっていただいた保護者の方々には、感謝しております。松為信雄先生には、これからもお力をお借りしながら、自然学園の生徒・学生の就労にむけた取り組みを、より一層充実させていきたいと思っています。平成30年には精神障害者の雇用が企業に義務付けられます。発達障害の方々の雇用機会がますます拡大されるはずです。自然学園で実施しているキャリア教育が、これから東京都をはじめとして導入されることになる高等学校における通級の取り組みの参考になるようなキャリア教育の実績と結果をだすことを実践していきたいと思っています。(6、に続く)

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