[高等部通信10月号]学園長より~可能性の扉~⑧

2017年12月8日

8、第4回自然学園体育祭について

高等部通信9月号でもお知らせしたように、10月8日(日)に、自然学園は第4回体育祭の開催が行われました。当日は、翌日の朝まで降っていた雨もあがり、秋晴れのさわやかな天気になりました。はじめて朝から晴天に恵まれた体育祭は、開校して初めてのことです。雨が降った時を想定して、今年も昨年同様、春日部市立八木崎小学校の校長先生のご厚意で、八木崎小学校の体育館とグランドをお借りしています。そのため、これまでは雨模様の中、体育館でできる競技のプログラムに組み替えて行ってきました。私を含め、教職員、在籍生の皆さんもどこか消化不良の気持ちを抱えたままの体育祭でした。
私もいつか青空の下で、生徒の皆さんが、声の限りの声援を聞きながら、力いっぱいグランドを走る姿を夢に抱いたまま今日と言う日を迎えました。朝から期待で胸が膨らんでおさえきれない気持ちでいっぱいになりました。
はじめに高校3年生の実行委員からの号令がかかりました。非常に気合の入った猛々しい声が青空に轟きました。その声を聞いて在校生にも緊張が走り、体育祭に臨む決意が、引き締まった顔と前にむき出した眼光から感じることができました。3年生の実行委員の立派な態度に感心しました。3年という歳月が、いつしか最上級生として後輩を引っ張る自覚を促したように思いました。

生徒の皆さんは、不器用性があり、ダンスやお遊戯など他の人と同じ動きを模倣したり、リズムや他の人に歩調を合わせながら協応したりすることが苦手な人たちが多いようです。整列や行進が苦手で、一定の時間同じ体列をキープしたり、他所との一定に距離を図ったり、規律したまま姿勢を保つことが苦手なので、運動会の時には必ず先生に怒られる常習犯だったようです。不注意性が強く、集中力もないので、おしゃべりをしてしまい、相手の動きを観察できず、チームワークを乱すきっかけになる無秩序な行動をしてしまうことがあります。その理由として、彼らの特性にある物や人との距離感がうまく図れない触覚感覚の鈍さや掴む、にぎる、手を突くなどの力の加減の調節や聴覚、視覚の認知力と運動感覚との連携がうまく統合できないことが挙げられます。それに加えて体幹が弱く、左右の上下のバランス感覚が悪い人が多いので自分が思った通りに身体がコントロールできないのです。また不注意性や衝動性の強さからチームワークが必要な競技では、ミスを犯してしまいます。だから、先生やクラスメートから文句を言われたり、怒られたりすることが多いのです。このことが、彼らがいままで運動会が苦手であった原因であると思われます。

9月号で説明したように自然学園では、以下のことを体育祭の約束事にしました。
① チームワークでの勝利を目標に置いて、自分の役割を果たすことに一生懸命に頑張ることが体育祭参加の意義です。
② 競技の結果だけを見た自分が満足するためだけの勝ち負けにこだわらない。
③ 他者を励ますこと、チームメイトのミスをカバーすること、自分の気持ちに負けないことが、スポーツマンシップであり、自然学園体育祭の理念です。

この約束を参加した全員が守ることができました。1500メートル走に参加を申し入れてくれた選手の皆さんは、誰もが順位に関係なくゴールを駆け抜けるとガッツポーズを作っていました。この姿こそ私が考えた体育祭に参加する生徒の理想の姿です。ガッツポーズは、自身のくじけそうな気持ちに打ち勝った証です。相手との勝ち負けではなく、自分に負けないことを目標に全力を出し尽くすことが、体育祭を通して皆さんに教えたかったことです。皆さんはその期待に十分応えてくれました。そして順位に関係なく声援を送り続けていたほかの生徒の皆さんにも感激しました。3年生が後輩に託した熱い思いをたすきにして手渡せたような体育祭であったように思いました。この伝統が次につながることを期待します。大変多くのお客様がお越しになっていただいたことにこの場を借りてお礼いたします。

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