[高等部通信12月号]学園長より~可能性の扉~5

2021年12月13日

5、第13回自然学園思いやり収穫祭(『僕たちの未来』卒業生座談会)の報告

コロナ禍でも開催することができたことを嬉しく思っています。私は自然学園の学園祭である『思いやり収穫祭』で『僕たちの未来』を継続することが、社会に参加して懸命に生きる卒業生の思いを継承するための自然学園の文化として根付くことを望んでいます。発達のつまずきがあり、社会的に適応できず困難さを抱えている保護者の皆さんやお子様方に少しでも勇気を与え、今後の就労に向けて意欲や希望をもてる座談会になることを期待してこの取り組みを始めました。

コロナ禍での開催のため、卒業生の座談会参加人数を例年の8名前後から今回は2人と限定し、ご参加いただいたお二人には事前に座談会の旨を話させていただき了承してもらいました。

お子さんを含め多くの人たちに卒業生の話を聞いてもらいました。ご参加していただいた方の中には卒業生の話に涙ぐむ姿も見られました。

まずは自己紹介をしていただき、勤務している企業の紹介とその企業でどのような業務に取り組んでいるかを私から簡単にご説明しました。特例子会社など障害者就労に積極的に取り組んでいる企業では、どのような業務があり、それらにどのように取り組んでいるかを理解していただき発達障害者の就労の現状を知って欲しいと思ったからです。ラインやルーティンワークでの単一業務ではなく、グループワークによる作業を決められた日程で遂行できるように自分たちでスケジュール管理を行い、自らの判断で役割分担や効率的な作業手順を取り決めて自主的に業務を遂行しなければならないということが、イメージしていた特例子会社の業務とは良い意味で隔たりがあり驚いた人たちが多いようでした。

このような日常の業務から他者とのコミュニケーションや連携を必然的に学ぶことになり、そこから生まれる他者への敬意や感謝の気持ちやグループワークの大切さを卒業生が一様に口にしていたことに彼らの成長を感じました。自分のミスが周りの迷惑になり企業の業績に影響することを理解し、責任感を持って業務に取り組む彼らの姿勢がその発言から垣間見えました。自分の実績が他者から認められ、同僚からも信頼され頼られることにより、労働意欲が高まり継続していることを感じ取ることができました。そこから会社でのキャリアアップの意欲や具体的な展望が生まれているようでした。

彼らが、自身に認知の偏りがあることを自覚して、自然学園在学中でもできる、学力向上のための努力や企業での指示を受けるためのメモを取る工夫など、発達障害があるお子様にとって参考になる話をたくさんしてくれました。

また自然学園に入るまでに、学校生活において学力面だけではなく人間関係においても苦労したことや、精神的に落ち込み、先の展望や希望が見えずにあがきもがいていた時の話は参加者全員の心を打ちました。

現在、社会の構成員としての自覚を持ちながら企業で仕事に従事して意欲的に将来の夢を持ちながら、充実した幸福感がある毎日を送る彼らの姿に温かい拍手を送っていただきました。

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