[高等部通信2月号]学園長より~可能性の扉~④

2018年3月2日

4、自然学園高等部での学習指導
 学力考査が近づいて来ているので自然学園の学習指導についてもう一度ご説明させていただきます。レポートの課題に関しても通信制高校の単位認定基準はレポートの提出と、スクーリングによる面接指導の出席が基準を満たしている人が学力考査を受ける資格があり、学力考査で基準点以上の得点を取得することで単位が認定されます。評価点の基準は各高等学校によって評価方法が異なることが一般的です。先ほど記述した通り、自然学園は、通信制高校の学習センターに指定されている技能連携施設なので全日制高校と同じように毎日の授業に参加することでスクーリングに換算され、授業を通してレポートを作成しながら学べるオプションを選べるようになっています。
このような活動をとおして学校生活でのクラスメートとの交流や学校行事、クラブ活動の参加が実現でき、スクールライフも全日制高校と同様に経験できる通信制高校が主流になっていることが、不登校を経験した人たちや中学校で通常学級から特別支援学級に移籍した人たちの進学先として選ばれる理由になっています。
単位を認定するために障壁なるのは学力考査で基準点を取得することになるのではないでしょうか。不登校を経験しているお子様なら勉強からしばらく遠ざかっている人たちが多いと思います。また特別支援学級在籍の生徒の場合は、主要教科を交流学級で学んでいる生徒以外は小学校の内容を復習しているケースが多いので、高校の授業についていけないことが多いと思います。もちろん習熟度できめ細かく小中学校の復習から学ぶことができる学校も多いのでそのような授業で救われた人たちもいると思います。
ただし自然学園に在籍している発達のつまずきがあるお子様の場合、特性に合わせた合理的な配慮をうけられなければ、振り返り授業だけでは学力的なつまずきの本質を補うことができないと思います。

学習の基本として挙げられる「読む、書く」のスキルが苦手な生徒は、本来レポートの作成や学力考査の設題に対して解答することは、彼らにとって非常に苦手な課題になってくるでしょう。授業中の説明に関しての理解や板書に書いてある要点を確認しながら考え、答えを口頭で解答することはできる生徒でも、テストとなると答えが書き込めない生徒もいます。視覚的な短期記憶と文字や記号の形状などを記憶して書字として表現する空間的に認知記憶をワーキングメモリと言い、板書を書き写し、文章で書かれた問題を読み、見つけた答えを条件に沿った解答に推移させて書き込むことはとても大きな容量のワーキングメモリを必要とする作業だと思います。このような作業を時間内で処理することに困難さをともなう特性は発達のつまずきがあるお子様の特性です。問題を読んでもらうことやPCのワードを使って書き込めるような援助が受けられれば、どちらかひとつでも処理が遥かに楽になり考えることだけに能力を注ぐことができるため、答えを導くことが容易にできる生徒が特別支援教育を必要としている生徒なのです。このような生徒の評価を従来の学力考査の評価だけで能力を判断してよいのでしょうか。そして今までの高等学校はこのような生徒が在籍していることを認識しているのか疑問に思うことがあります。

自立するための生きる力が新学習指導要領の教育目標になるそうです。多様化された価値観の中で知識だけではない多様な能力を評価し伸ばしていくことを目標においているそうです。アクティブラーニングや問題解決学習などの新しい指導方法は、多様化された価値観が認められていくこれからの社会で必要とされる多様な能力を育むために有効であると考えられるようになってきました。すべてのことができる能力より、特筆したひとつの能力を有している人に重きを置く社会に対応できる人材の育成が新しい教育目標とされているということだと思います。

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