[高等部通信2月号]学園長より~可能性の扉~④

2017年4月24日

4、働くために最低限必要なこと

学校教育においてもそうですが、自分の体調を理解して、午前中なら周りに迷惑かけることなく授業に参加できる生徒は、先生にその旨を申し出さえすれば、何の問題なく午後は帰宅しても構わないわけです。もちろん申し出た午前中の3時限は、自分の体調を自分でコントロールしてまわりに迷惑かけることなく参加することが条件です。実は会社でも同じなのです。特に精神障害者保健福祉手帳を取得して

いる生徒は、前もって自分の体調に合わせた労働時間帯で契約すれば、その時間帯で出退勤を認める企業は少なくありません。その場合は先程ほどお話しした通り、自分の体調をコントロールできメンタル面の安定が図れれば問題ありません。このようなことが合理的配慮なのです。もちろん企業なので契約した時間帯での欠勤や早退、遅刻は、一般の社員同様ゆるされません。

一般の会社で当然のごとくビジネスマナーとされている報告、連絡、相談においても、自分でできないこと、失敗してしまったこと、取引先、お客様や従業員も含む他者とのトラブルなど業務を依頼されてうまくいかなかった場合や、依頼され遂行できた業務、依頼された納期が遅れそうな場合は、必ず連絡し状況によって相談、報告に結び付けていくことは、働くうえにおいて必須であり、自分の苦手なことの対応を自身で獲得していることが前提の上で、適切な対処方法について事前に申し入れておくことも合理的な配慮を受けるうえで必要なことです。

当たり前の話ですが、障害を理由にルールを守らない、自分勝手に判断して行動する、他者と協調せず他者に迷惑をかける、失敗を認めず他者のせいにするなどの行為は、企業であっても学校の特別支援教育であっても認められません。

先にお話しさせていただいた松為信雄先生の『発達障害の子どもと生きる』と言うタイトルの著書に記載されている内容を一部抜粋させていただきました。松為先生の働くうえで最低限必要としているお考えが示されています。最後のまとめとして記述させていただきました。

・毎日時間通りに出社できる
・働くことの意味(給料が仕事の成果に対して支払われていること)を理解している
・仲間と強調できる
・指示を理解し従うことができる
・「数える」「折る」「封入する」などの基本作業が正確にできる
・報告・連絡・相談ができる

逆に企業にとって困るのは、次のような人たちです。
・たびたび休む人や遅刻、早退が多い
・他の人と協調出来ない人やルールが守れない
・挨拶や服装、身だしなみなどの基本ができない

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