[高等部通信2月号]学園長より~可能性の扉~5

2021年3月8日

5、人間関係のトラブルについて

問題行動とは、実際に社会との接点が多くなればなるほど増える傾向があり、社会的な接点が少なければ大きな問題にならないケースは少なくありません。

お子様の問題行動があると親の子育てが間違っていると言う人がいますが、お子様の環境によって問題行動に至るお子様の特性は大きな影響を受けるので、家庭環境や成育歴だけが問題ではないのです。学校生活など社会との接点で生じたお子様のストレスが他者に対するいじめや攻撃に結びつくことが多く、嘘をつき多動行動が強くなり、学校でのクラスメートとのトラブルや家庭での兄弟へのいじめなどの問題が生じてきます。家の中で解消しないと外に向けての反社会的な行動になってしまうことがあります。問題を起こすことで注目してもらいたいと言う気持ちが問題行動の根底に潜んでいる心理です。

特に発達の特性を持っているお子様は、ソーシャル・スキルが経験から身についておらず、人の気持ちを理解できないなどの認知の偏りから問題行動や対人トラブルなど生活上のつまずきが起きやすいのです。

以上の理解がなく、学校などでの社会生活の不適応さを問題行動と捉えて、頭ごなしに怒り、力ずくで止めさせる行為は大人になってからのお子様の反社会的な行動が強まると言われています。外出を禁止したりラインなどのSNSを禁止したりしても反抗が強くなり、問題行動を助長することになりかねません。友達との付き合い方や対応を知らないためにこのような行動を身に付けてしまったお子様と捉え、友だちとの付き合い方を教えることで問題行動が減少するお子様だと考えるようにすることなのです。順番待ちができないお子様はルールが身に付いていないと考え、コミュニケーションでの解決を図るための適切な行動やルールを教えてあげることが必要であるということなのです。

2020年は、コロナ禍における休校や夏休みの短縮、学校行事の縮小などで予定の変更などが生じ、生徒の皆さんにとっては、大きなストレスになりました。特に、発達障害傾向のお子様にとっては大きな精神的な負担が強いられた年だったようです。ここのところ増加傾向が止まらない不登校の問題もコロナ禍でのお子様の状況がたびたび話題として取り上げられました。

平成30年度の文部科学省の統計では小学校、中学校、高等学校いずれも前年比を大きく上回っていて小学校の増加率が目を引きました。また不登校の割合では圧倒的に中学生の割合が3.6%と高い結果でした。家庭の問題を除き学校の問題として不登校の理由やきっかけとして、人間関係のトラブルと学力不振が挙げられていました。

高等学校での人間関係のトラブルのほとんどがSNSを通じてのものです。自然学園高等部でもSNSでの人間関係のトラブルの報告を受けています。

不安が強くなるとSNSでのやり取りにクラスメートや担任の悪口などを書き込み、同意を求めることでその不安から逃れたいという心理が働きます。
以上のような問題行動が生じやすいお子様は特に他者に責任を転嫁し、他者を攻撃することで自分の責任を回避しようという行動に出ることが多いです。

このことによってますますクラス内のトラブルが悪化、拡大するのです。

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