[高等部通信2月号]学園長より~可能性の扉~8

2021年3月16日

8、保護者の皆さんにお伝えしたいSNSの利用の仕方

保護者の皆様にも注意してほしいことは、スマホのSNSのトラブルから不登校やいじめにつながる中学生、高校生が非常に増えていることです。先にご説明したようなことでのスマホの利用時間は、午後10時から12時に集中しています。
自分の部屋にこもり、嫌なことを思い浮かべて悶々としている時間と利用時間が重なっているので、学校での人間関係のトラブルやクラスメートの不満(恨み・嫉妬等も含む)や自分にとって許しがたい行為をされた場合、SNSを使って自分の言いたいことを一方的に送りつけて、他者を攻撃しようとする人が多いようです。

特に彼らはグループに所属していて、他の人たちから自分の打った文章をどのように理解されるかを考える余地もありません。自分の意見だけ一方的に主張します。また「なりすまし」や匿名での投稿も多いようです。それが拡散するので、クラスでは犯人探しが始まり、まわりとの確執が生まれます。それが人間関係の大きなトラブルになっているケースが非常に多いのです。いじめにつながることや人間関係の不安につながり、情緒の混乱を招くケースは少なくありません。

自然学園に入学してきた生徒は、一般の高校生と同じような人間関係の構築を高等部の学校生活に求めている人たちです。友人ができたこと、その友人とSNSでつながっていることは、彼らの登校する意欲につながっています。

保護者の皆様もそのようなお子様に制限を加えたくないと思われている方々が多いと思います。そうであるならばそれぞれの家庭で安全なスマホの利用の仕方を話し合い、正しく利用できるような約束事を作ってほしいと思っています。家庭内での話し合いが、お子様のネット利用の安全意識を高めると言われています。現在では、保護者と高校生が、スマホ利用について話し合うことがもっとも大切だということが高校生のスマホ利用の原点だと認識されています。ぜひこの点に関して保護者の方のご協力を仰ぎたいと思っています。そしてその原点と考えられる自己肯定感の低さや人との関わりの苦手さを改善していくことが重要です。ワーキングメモリなど認知の凸凹や感覚統合の問題などで情報がうまく処理できずに作業がうまく消化できないことやコミュニケーションの苦手さを自分の欠点として受けとめて自覚することが社会に参加するための大切なスキルになります。
そのようなつまずきを受け止めることができないことで、特性のひとつである自己評価の高さから、責任転嫁や自分を批判した人に対しての攻撃性や自分を取り繕うための虚言や嘘などの負の行動が頻発するようになるのです。

SNSと言うツールは、そのような彼らが持ち合わせている衝動性や攻撃性を助長する彼らにとっての便利さがあるのです。彼らは相手と対峙してのコミュニケーションではなく、一方的な伝達や書き込みのため自分の感情のコントロールがしにくいのです。匿名性の高さも攻撃性を高める要因になっています。だからこそクラスを通しての人との関わりを学んでいく機会を作らなければいけません。
高等部の学校行事やSST(ソーシャルスキルトレーニング)、コミュニケーション、グループワークなどの授業を通してつまずきによるトラブルの対処の仕方を学び、人との関わりがより強くなるコミュニケーションや付き合い方を学んでいくことがこれからの学校生活で求められることでしょう。

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