[高等部通信4月号]学園長より~可能性の扉~②

2019年5月21日

2、春先の不安による情緒の不安定さ
新学期に入りました。新しい環境に落ち着かない人たちがたくさんいると思います。教室の場所が変わったり、教科担任の先生が変わったり、新しい環境に適応するのに時間がかかる人たちが多いのではないかと思っています。
大人の社会人でも人間関係をうまく構築できる人ほど、どんな環境にでも適応が早く仕事がスムーズにこなすことができる人だと言われています。

人間関係の基本はコミュニケーション力であると言われていますが、大人になればなるほど人間関係の構築には、高いソーシャルスキルを要求されてきます。高いソーシャルスキルとは、相手の気持ちを読み取る能力、相手の気持ちを察して相手の期待する対応や行動がとれることです。このことが、他者と円滑に人間関係を結ぶことができるコツになってきます。しかしながら、なかなかこのような行動を自然に振る舞えるようにはならないものです。そのことを意識すれば意識するほど緊張し、顔がこわばり、自然に相手に対して振る舞えることができず、ついつい余計なことを言ってしまったり、自分を大きくみせるように強がった態度をしてしまったりする人が多いと思います。

人間は誰しもが自尊心を持っていて、自分が重要だと思っています。だから誰しもが自分を認めてほしいという願望が強いのです。幸せだと感じる気持ちは、自分が必要とされていると言う充実感なのです。私も含めて基本的に人間は自分本位の生き物なので、自分の考えを主張しがちです。仕事ができる人は、自分の主張や相手に対しての要求だけではなく、相手の気持ちを読み取り、相手のやりたいような事柄や条件を満たしてあげる寛容さと推測力の高さを持ち合わせているのです。だからこそ人を動かすことができるのです。そういう意味で仕事ができる人は人間関係がうまく構築できる人なのです。この能力は障害雇用でも必要とされるものです。グループワークとして必須とされる「協調、協働」は相手の気持ちを読み取る能力、相手の気持ちを察して相手の期待する対応や行動をとれることが実践するために要求されることであり、実習の際にみられる企業が採用を考える「ものさし」となるスキルです。卒業後の就労を考えている人は尚更意識して身に付けなければならないことです。

生徒の皆さんは、どちらかと言うと人の気持ちを読み取ることが苦手な人たちです。クラスメートからは自分勝手でわがままだと誤解されている人もいるでしょう。人の気持ちを読めない能力には、生まれながらにもっている性格やつまずきとされる特性も起因していることは事実ですが、それだけではありません。自分自身に自信がなくてコンプレックスが強く、自己肯定感が少ない人たちは、その裏返しとして自己主張の強さや他者への攻撃性が、自分の気づかないところで強くなります。だから新しい環境で不安を抱えている人ほど、なんとか人に認められようと思って肩に力が入って頑張りすぎてしまうのです。そのような行動が他者から見ると、去勢を張っているように見えたり、強引で我儘そうな嫌な奴に映ったりしてしまいます。そのようなことからいじめや人間関係のトラブルが起きやすい時期でもあります。不安や緊張感の強さは問題行動を引き起こす可能性もあります。

お問い合わせはこちら