[高等部通信4月号]学園長より~可能性の扉~④-2

2019年5月31日

教科学習のつまずきにおいても、その相談の一つに「先生の説明が、早口で何を言っているのかわからない。」「黒板に書くことが多く書くスピードも速いので、ノートに書ききれず小学校の先生と違って待ってくれない。」など授業について行けず個々の配慮がないことを理由に挙げる生徒が、最も多いように思われます。次に宿題が多すぎて対応できないことを挙げています。視覚的な認知の弱さがある生徒(読字的、書字的に)は宿題が一人では消化できません。このような学習面でのつまずきに個々の配慮がない中学校が、多いようです。そしてこのことが学習性無気力の状況を引き起こすのです。まして学力考査の得点や順位が発表される中学校では彼らの居場所がなくなってしまいます。
 
 このようなことが『中1ギャップ』と言うなら、高等部の在籍生は何らかの『高1ギャップ』を抱えています。もう皆様はお判りになる通り、『高1ギャップ』の正体は、発達障害がある生徒の特徴そのものなのです。

この『高1ギャップ』と不登校が連休明けに結び付くのです。入学前から新しい環境の適応に対する不安を抱えながら新学期を迎え、春先は精神的なバランスが崩れ、精神的な不安定さが助長しやすい時期なのです。いままで学校生活の中で、不安による情緒混乱が生じて不登校を経験したことがある生徒や2次的な障害等が生じて精神科に通院したことがあるか、薬を服用しているお子様方ならなおのことです。そのようなケースのお子様が新しい環境に適応できずストレスが過剰になり連休明けから学校に登校できなくなる状況は、容易に予測できます。そうではなくても5月は、気持ちが不安定になりやすい時期で「5月病」という言葉が一般的になっているくらいです。
 
一般的な「5月病」というと新入社員のサラリーマンや大学生の新入生などにみられる新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状を指していました。ゴールデンウイーク明け頃から毎日の生活にやる気をなくしてしまう状態が続くことで、医学的には適応障害や気分障害、鬱(うつ)と診断される症状です。

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