[高等部通信4月号]学園長より~可能性の扉~3

2021年4月19日

3、5月病について

 

この時期は、入学前から新しい環境の適応に対する不安を抱えながら新学期を迎え、春先は精神的なバランスが崩れ、不安定さが助長しやすい時期です。このような状況で新学期の登校再開に不安を感じているお子様方が少なくないことを私は予想しています。

 

今までの学校生活の中で、不安による情緒混乱が生じて不登校を経験したことがある生徒や2次的な障害等が生じて精神科に通院したことがある、また、薬を服用しているお子様方ならなおのことです。そのようなケースのお子様が新しい環境に適応できずストレスが過剰になり連休明けから学校に登校できなくなる状況は、容易に予測できます。そうではなくても5月は、気持ちが不安定になりやすい時期で「5月病」という言葉が一般的になっているくらいです。

一般的な「5月病」というと新入社員のサラリーマンや大学生の新入生などにみられる新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状を指していました。ゴールデンウイーク明け頃から毎日の生活にやる気をなくしてしまう状態が続くことで、医学的には適応障害や気分障害、鬱(うつ)と診断される症状です。

 

最近は、中学生、高校生ばかりではなく小学生、幼児への低年齢化が進んでいるようです。また、発達のつまずきが起因して、元来、2次障害と言われる精神的な不安定さや不登校などの問題行動が伴いやすい特色があります。

症状としては、いらいらすることが多くなったり、学校に行くことが億劫になったりすることがあります。「不安」「焦り」「憂鬱さ」が強く感じるようになることもその一つです。

朝、なかなか起きることができない、夜眠れない、食欲がない、頭痛、めまいなどを頻繁に訴えるようになったら要注意です。タイプ的に言うと真面目で完璧主義的な性格で、自分で早く環境に適応したいと頑張る気持ちが強い人ほど、期待していた新生活のギャップに落ち込んだり、必要以上に頑張りすぎたりして緊張が強くなり、モチベーションが継続できなくなる傾向にあるようです。 特に、中学校で発達のつまずきがあるお子様におこりやすい『中1ギャップ』と一般的に言われてきたつまずきは、「五月病」と同じ状況だと考え慎重に対応していく必要があると思っています。また、同じような状況は中学生に限らず高校生や小学生にも起こり得ることだと思っています。

高等部に通っている生徒たちは、勉強が苦手だと意識している人たちが大半を占めています。さらに、「テスト」「試験」と名がつくものが、小学校低学年の時から苦手で、人と比べられたり、叱られたりした苦い思い出がトラウマ的になっている人ならなおさらです。以上の理由から5月は、子どもたちの不安が非常に高まっていることが容易に考えられ、お子様の気持ちの不安定さを見逃してしまうことのないよう十分に注意が必要な大切な時期だと思います。

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