[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~①

2018年6月12日

㍻30年高等部通信5月号
学園長ブログ可能性の扉
1、はじめに
もう梅雨入りしたかと思うような天候がGW後半から続いています。
 気温も3月、4月上旬を思わせるような寒さで、温度差から体調が思わしくなく、気圧の低さも含めて精神的にも不安定になっている人も多いことと思います。
 そうでなくても5月の連休明けは、新しい環境での学校生活の緊張から解放され、ストレスからくる疲れが身体的にも影響を受けやすくなる時期です。高等部の生徒の皆さんも中学校時代に経験した人が少なくないと思います。一度緊張の糸が途切れ学校に行かない生活をしばらく送ることで、不登校経験があるような発達障害傾向の人なら尚更、不安が大きくなり学校に行きたくない気持ちが強くなり、それに伴い情緒が混乱してパニック傾向になり、夜眠れない、おなかが痛い、頭が痛い、熱が出るなどの身体症状が現れる経験もこの時期に起こりやすい現象です。一般的にも休みを挟むことで、学校や会社に行きたくない気持ちが強くなる時期なので、この現象は「5月病」などと称されています。おかげさまで心配された1年生の皆さんも元気にGW明けも登校しているので安心しました。 
 
高等部では恒例の田植えの体験授業を5月8日(火)に実施しました。
どんよりした曇り空が広がりいつ降ってもおかしくないような空模様でしたが、心配していた雨も、雨雲が気を使ってくれたように田植えの時間だけは我慢してくれたみたいです。なんとか実施することができました。幸いなことにこの日は気温もさほど上がらず熱中症の心配もなくなりました。

日ごろから高等部の生徒の皆さんには、幼稚園や保育園、小・中学校でも体育や課外活動が苦手で嫌な経験があるお子様がいると思います。インドア派はゲームなどに興じて何時間でも飽きずにプレイに没頭できる人もいると思いますが、他者との関わりや空間認知力、口頭からの指示を聞くことに必要なワーキングメモリの容量などの問題から屋外での活動をあまり好みません。屋外だと口頭での指示が入りにくく、聴覚が過敏な生徒は他の生徒の話し声やはしゃいだりする歓声が必要以上に大きく聞こえてくるので、一斉の指示やスピーカーからのアナウンスが入りにくくイライラが強くなってきます。他者の動きに気を配って行動したり、模倣したりすることに苦手さがあるので常に不安が強くなります。集団行動を乱すような行為や人より遅れが出たりすることでおこられる機会も多くなると思います。ましてや感覚過敏から田んぼのぬめりに足を入れる触感が耐えられない人や土や苗の匂いが嫌いな人もいます。

1年生には最初の学校行事なので、田植えを通じてクラスメートとより親密な関わりを持つことができれば、授業で学ぶコミュニケーションなどを目的としたSST(ソーシャルスキルトレーニング)の効果も大きくなることでしょう。意外にも楽しく感じられた人たちが多かったようです。仲間と一緒に汗をかいて田んぼの泥と格闘している姿はとてもすがすがしく頼もしく私の目には映りました。自然学園に入学したことを境に学校の課外授業も苦手さがなくなってくれることを心から願っています。ご協力していただいた保護者の方々に深い感謝を感じています。また6月5日に予定しているジャガイモ堀の農業実習があります。高等部の皆さんが楽しく作業に興じる姿を期待しています。

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