[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~①

2016年4月1日

連休が明けて、新入生は学校生活にも慣れ、いよいよ各学年とも前期学力考査の出題範囲にも重なるレポート課題について、本格的に勉強に取り組まなければいけない時期となり、授業にも活気が帯びてきています。通信制高校の単位認定基準として、レポート課題の提出は学力考査の受験資格が得られるための条件であり、スクーリングも兼ねた各教科の平常授業における重要な位置づけとしてレポート指導を行っています。レポートを期限内に提出するためには授業に出席することが絶対条件になります。

自然学園にご入学された生徒の皆さんは、小学生や中学生の期間に継続的、または断続的に不登校を経験している人たちが多いと思います。以前発表された不登校の理由として上位に挙げられている「無気力」「不安による情緒混乱」「いじめを除く人間関係のトラブル」などは、自然学園の生徒の不登校を経験していた理由としても例外ではありません。

「無気力」と言われている状況は、彼らが抱えている認知のつまずき等の、特徴的な特性を理解されていない事によって生じる『息苦しさ』によるストレスが、セルフエスティームの低下を引き起こす現象だと思います。学力不振の原因も、このことによる学習無気力状態が大きく関係していると思われます。

認知のつまずきによるストレスは他にもあります。一斉の指示が入りにくいことによって行動が他の生徒より遅れがちになり、先生の注意の対象になることが多くなります。クラスメートに話しかけられたことの趣旨がすぐに理解できない事により、反応が遅れがちになります。そのことによって、いじめやからかいの対象になったり、人間関係がうまくいかない要因になることもあります。自分自身から積極的にはクラスメートに話しかけることができない要因にもなっています。このことが継続することによって、極度の緊張状態が持続し情緒の混乱を引き起こすことになるのです。

このような特色を抱えている生徒の皆さんが、いかに不登校になりやすいかがお分かりになると思います。ましてや、もともと精神的な安定を図る作用があるドーパミンやセロトミンなどの脳からの分泌物が調整しにくい特性があるお子様方にとって、二次障害と言われる精神的な不安定な状況や行動が起こりやすいのです。

特性上、はじめての環境に慣れるのに時間がかかり、緊張しやすいお子様方にとって、連休明けの本格的な授業カリキュラムが始まり、クラブ活動などの取り組みや、新たな人間関係が構築し、学校生活における精神的な負担や授業の負担が大きくなるこの時期に、いろいろな問題が生じることは十分予想できることなのです。ましてや、不登校生徒が多くなる、また精神的な不安定さをかかえる生徒が多くなる時期と重なれば、当然要注意な時期が今のこの時なのです。おかげさまで全く登校できない生徒の報告は1年生も含めて聞いていませんが、休みがちになっている生徒は何人かいるようです。

今月はそのような子どもたちと今の季節の関連性について少し触れてみたいと思います。

(つづく)

お問い合わせはこちら