[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~③-2

2018年6月22日

自然学園では、毎年5月に高等部3年生が修学旅行を実施しています。今年度も昨年同様5月23日から25日の2泊3日の日程でみちのく路を旅する行程になりました。

天気予報では雨が多い予報だったので、何とか天候が崩れないことだけを祈っていました。1日目は、最初に岩手県世界遺産である中尊寺金色堂を皮切りに奥州藤原氏の栄華の足跡に思いを馳せ、源義経など歴史に翻弄されたゆかりの地である平泉を訪ねます。
そのあと宮沢賢治童話村を見学しました。だれもが一度は、賢治の文学に触れたことがあると思います。賢治の小説を読んだことのない人でも小学校の国語の教科書や中学校の国語の教科書で賢治の作品を勉強した記憶はあると思います。童話を超えたシュールな独特の賢治の世界観は世界中の読者ファンを今なお魅了し続けています。
その原点は、賢治が生まれ育った岩手県花巻市にあります。そこから見える岩手山、小岩井農場、草木や星空など自然のすべてが賢治の小説の重要な題材になっています。
私が昨年見学した宮沢賢治童話村は、それらの小説のモチーフを展示し説明している賢治の学校や童話の一部分を文章の掲載とともにジオラマで表現されているブースや神秘的なオブジェや幻想的な宇宙空間など賢治の小説に描いてある世界観を表現しているブースなど、なかなか想像力が働かない空想力に乏しい人たちにも賢治の童話の世界にどっぷり浸ることのできる展示物の数々でした。『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』など、まるで小説の中に迷い込んだ不思議な思いに包まれたようでした。生徒たちは、若き賢治に出会ったつもりになってイーハトーブに描かれた理想郷のモデルの地を体感できたと思います。2日目は、小岩井農場から宮城県の仙台に向かい仙台市天文台を見学しました。小岩井農場ではグループごとに分かれて農場内のオプションを楽しみました。岩手山がかすかに見える曇り空でしたが、乗馬、水上ハムスター(球体の中に入って水上を走る遊具)やバンジートランポリンなど大自然抱かれながらのアトラクションにドキドキわくわくしながら、普段経験できないスリルを満喫できたようです。3日目は、松島湾をフェリーで観光しながら日本三景の一つである松島を堪能しました。そして最後に東日本大震災で被災した旧荒浜小学校に立ち寄りました。

修学旅行は皆さんが今まで社会に出るために培ったソーシャルスキルを試すための集大成の行事でした。規律を重んじた行動や他者を気遣うことのできる思いやりある行動が3年間学びを共にしたクラスメートとともに実践することができたでしょうか。この修学旅行を、いつまでも皆さんの大切な友達として付き合い続けることになるクラスの仲間と一生の大事な思い出として残してください。修学旅行で経験した一瞬、一瞬がみんなの宝物です。決してなくさないように、心のポケットに大切にしまっておいてください。自然学園に入学してよかったと思えるような修学旅行になったことを期待しています。

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