[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~③

2016年4月1日

学校の先生や保護者から進路のことで、叱責や多大な期待をかけられるようなことがあれば、現状から逃避したい願望が増大し、特色である衝動性をともなって、不登校を選択することは容易に想像がつきます。「合格しなければいけない。就職しなければいけない」という気持ちが強い子どもたちは知らず知らずに心身症的な状態が強くなり、身体的に適応できなくなるケースを私は目の当たりにしています。そのようなことも含めて高等部に在籍している子どもたちにとって、GW明けから梅雨入りのこの季節は特に注意を払わなければいけない時期だと思っています。

現在、リソースルームのスタッフとしてそして自然学園の主任コーディネイター及び心理カウンセラーとして東京都の公立中学校の情緒学級を中心に発達障害がある子どもたちの指導を中心にご活躍されていた、特別支援教諭の草分け的存在である小川文子先生にお手伝いいただいています。小川先生と公立中学校で専門チームを組み発達障害がある子どもたちの支援をしていた、発達障害の専門医で元梅ヶ丘病院副院長である海老島先生を自然学園医療顧問として連携をしています。

小川先生とともにリソースルームのスタッフとして専門家チームを組んでいる臨床心理士の資格を持ったスクールカウンセラーである西原瑞世先生がアセスメントに加わり、成育歴の情報と検査場面の行動、日常生活場面での様子とWISCⅣ・WAISⅢの検査結果を関連づけて解釈していく中で、担任の教員と連携し、高等部在籍生徒の個別の指導計画を作成していきます。アセスメントの結果や行動観察を実施する中で必要があると判断した場合のみWISCⅣ・WAISⅢの発達検査を実施することも可能です。西原先生はアメリカの大学、大学院で臨床心理学を学び、自然学園に勤務されて7年目を迎える臨床経験豊富なキャリアを持っています。この2人の臨床心理士が小川先生とともに発達検査に携り最終結果は医師である海老島先生にもアセスメントに加わっていただきます。

検査の結果、必要であると判断した場合は、保護者のご意向を確認したうえで、病院等をご紹介させていただくことも可能になっています。学校生活で生じた問題行動をたびたび引き起こす生徒は事例研究会を定期的に開催し、その生徒の関わる全ての教員が、その生徒のつまずきや特性に対する共通した認識を持ち、作成した指導計画のうえで連携した対応や対処が実施できるようにしています。

生徒の行動観察と学習習熟度をまとめた『行動支援チェックリスト、学習到達度チェックリスト』は、この結果をアセスメントに反映させていただきながらの個別の支援計画書を作成する上で最も重要なファクターになります。

家庭での様子、学校での様子、学校での授業の様子、医療機関の先生方からのアセスメント情報、学校の先生方のアセスメント情報、WISCⅣ(WAISⅢ)やK-ABCなどの心理検査の情報と保護者からお聞きした生育歴やお子様に対しての期待や希望を踏まえたインタビューをベースに、なによりも実際にお子様への行動観察を参考にしながら、個別支援計画をひとり一人のお子様に対してご提示させていただくことが、自然学園でお子様をお預かりするうえでの指導方針および理念の根幹をなすものです。

自然学園のスタッフが一丸となり、現在の一番注意を要する時期を乗り越えていく所存です。これからもご協力お願い申し上げます。

自然学園学園長 小林 浩

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