[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~④-2

2017年6月5日

中学生の場合は、この『中1ギャップ』と不登校が連休明けに結び付くのです。入学前から新しい環境の適応に対する不安を抱えながら新学期を迎え、春先は精神的なバランスが崩れ、精神的な不安定さが助長しやすい時期なのです。いままで学校生活の中で、不安による情緒混乱が生じて不登校を経験したことがある生徒や2次的な障害等が生じて精神科に通院したことがあるか、薬を服用しているお子様方ならなおのことです。そのようなケースのお子様が新しい環境に適応できずストレスが過剰になり連休明けから学校に登校できなくなる状況は、容易に予測できます。そうではなくても5月は、気持ちが不安定になりやすい時期で「5月病」という言葉が一般的になっているくらいです。
 
一般的な「5月病」というと新入社員のサラリーマンや大学生の新入生などにみられる新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状を指していました。ゴールデンウイーク明け頃から毎日の生活にやる気をなくしてしまう状態が続くことで、医学的には適応障害や気分障害、鬱(うつ)と診断される症状です。

 最近は、中学生、高校生ばかりではなく小学生、幼児への低年齢化が進んでいるようです。自然学園の在籍生の場合、発達のつまずきが起因して、元来、2次障害と言われる精神的な不安定さや不登校などの問題行動が伴いやすい特色があります。

 症状としては、いらいらすることが多くなったり、学校に行くことが億劫になったりすることがあります。「不安」「焦り」「憂鬱さ」が強く感じるようになることもその一つです。
 朝、なかなか起きることができない、夜眠れない、食欲がない、頭痛、めまいなどを頻繁に訴えるようになったら要注意です。タイプ的に言うと真面目で完璧主義的な性格で、自分で早く環境に適応したいと頑張る気持ちが強い人ほど、期待していた新生活のギャップに落ち込んだり、必要以上に頑張りすぎたりして緊張が強くなり、モチベーションが継続できなくなる傾向にあるようです。 そうならば、発達のつまずきがあるお子様にとって『中1ギャップ』と一般に言われてきた「五月病」は同じ状況だと考え慎重に対応していく必要があると思っています。
 
高等部の生徒の皆さんの中にも、学年が進級したので、勉強を頑張ろうと思って必要以上にやる気になっている生徒や新しく変わった担任の先生に慣れず、いまだに緊張状態が継続している生徒がいる場合は心配があります。高等部の皆さんの中には、中学校時代に勉強が苦手だと意識している人たちが大半を占めているでしょう。そして「テスト」「試験」と名がつくものが、小学校低学年の時からとにかく大嫌いで、人と較べられたり、叱られたりした苦い思い出がトラウマ的になっている人は、試験がある2学期に不登校傾向になるケースが過去にありました。以上の理由から5月および新学期は、子どもたちの不安が非常に高まる時期であり、学校関係者からしても少し油断すると不登校やいじめの芽を見逃してしまうことになる注意が必要な大切な時期でもあるのです。

このようなことにならないためにも自然学園では、リソースルームにかかわる先生方が中心になり専門チームを作って、不登校や情緒混乱に至るような小さな芽を発見したら、すぐに摘むためのきめ細やかな支援を実施しています。リソースルームの主任である小川を中心に医療機関との連携やカウンセリング、および発達相談など保護者の皆さんと緊密な連絡を取り、担任や学年を超えた学校全体でのケア体制を導入しています。
お子様にご不安があり、医療機関の診断を受けたことのない方々やWISCⅣやWAISⅢなどの発達検査を受けたいと思っている方々は担任までご相談ください。

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