[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~④

2018年6月26日

4、発達障害がある生徒の卒業後の進路について(高2、高3進路説明会のお知らせと発達障害がある進路の現状)

 障害者雇用率が平成30年4月から現行の2%から2.2%に引き上げられ、平成33年4月までにはさらに0.1%引き上げられ2.3%になることが決められています。1000人以上のほとんどの企業で障害者雇用率は達成されています。平成28年からは厚生労働省は改善がされない企業には企業名を公表すると言っています。企業にとっては違約金以上に厳しい措置になるので、今後は障害者雇用率を充足させることに、より一層努力することになるので達成率が向上するとともに、当然のごとく障害者の受け入れが拡充していくことでしょう。実際に新しい特例子会社の増加や企業の障害者枠での採用は拡充していて優秀な人材の奪い合いになっている傾向があります。健常の方々と比べても遜色ない身体障害者の採用需要の高さは以前からですが、身体障害者では高齢者の割合が圧倒的に高いことから、能力的に高い精神福祉手帳を取得している発達障害者にシフトしている現状があります。その時に企業が求める条件としては、精神的に安定している人や精神面でのセルフコントロールができる人が採用の基準になると思います。
 目に見える障害に関して合理的配慮が導入されている企業は増えていますが、目に見えない自閉症スペクトラム傾向の人たちの障害は合理的配慮の対象になりにくいのです。パニック性や衝動性が強く、他者に対しての暴言や暴力、器物破損などの可能性を秘めている人たちは企業から最も敬遠される人たちです。
2004年に発達障害者支援法の成立、2005年に施行されて以降、精神障害者の割合が急速に増加していますが、身体障害者にかわる人材として以上の条件を満たした能力の高いアスペルガーや高機能自閉症スペクトラム障害、ADHD傾向の人材の需要が最も高い状況だと思っています。
もう一方で能力的にはボーダーラインではあるものの精神的には安定し、数える、折る、封入するなどの軽作業よりも生産性の高い手順などを明確化し、情報が可視化してあれば作業が可能な一般事務の補助的な仕事やスキャン業務なども含む、データ入力などの事務作業など仕事のニーズも高くなっています。能力的にはボーダーではあるものの精神的には安定している発達障害傾向の人たちや軽度の知的な遅れがある自閉症傾向に人たちに、このような仕事を遂行し企業の要求にこたえることは十分可能だと思います。そのような意味では発達障害傾向の人たちの需要が非常に高くなっているように思います。
精神障害者の雇用率が高くなっていることで、企業は精神的に安定していない人たちに潜在的な能力が職場に出勤できなくてもその能力が生かせる勤務形態として在宅勤務の推進を図っています。未来の雇用として十分期待のできるものだと思っています。

今回の高等部2年生、3年生の進路説明会では現在障害者就労の中心である発達障害者および軽度知的障害者の現状に対して、採用する側の企業の実情や採用基準、採用方法、および卒業生が働いている企業の主な業務内容、条件等など具体的な事例をお話しさせていただいたうえで、企業が求める人材に触れ、求められている就労スキルを考察して「どのような人材が、企業側が求めているのか?」「採用されるためのスキルを身につけるにはどのようにしたら良いか?」などについての説明を考えています。そのうえで現在高等部が取り組んでいる進路指導についての卒業までのロードマップを理解いただければと思っています。

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