[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~④-1

2017年6月1日

2、春先に注意しておかなければいけないこと

連休が明けると、高校生は、いよいよ本格的に勉強に取り組まなければいけないシーズンが始まります。新入生は、新しい環境に慣れるまでに落ち着かなかった人も多いことでしょう。『中1ギャップ』という言葉をよく聞きます。昨年、全国の小、中学校での不登校生徒増加のニュースは、まだ記憶に新しいところですが、最も不登校生の人数が多い学年は中学1年生だそうです。

『中1ギャップ』とは小学生が新中1生となったときに、学校生活や授業のやり方が今までとまったく違うため、新しい環境(学習・生活・人間関係)になじめないことから不登校となったり、いじめが急増したりするなどいろいろな問題が出てくる現象のことをさすようです。

中1ギャップという言葉が使われるようになった以前からバンブー教室の在籍生徒からは同じような悩みを聞いていました。

たとえば中学に進学すると急に教科の先生の授業が中心なり、放課後は部活動で忙しくなり、担任の先生との関係が希薄になることで、「学校生活や学習面の悩みを打ち明けられる人がいない。」「教科のつまずき、クラブ活動の悩み、友人関係の悩みは自分で解決するしか方法が見つからない。」等、「少なくても小学校の方がもっと甘えられて、自分を分かってもらえていた。」と悲観的に考える人が多くなります。そんな悩みからストレスが強くなり不登校になる人もいるようです。

クラブ活動などのイレギュラーなコミュニティーが広がることにより、先輩後輩の縦社会の関係が理解できない人には、人間関係が苦痛に感じられるようになるでしょう。またスマホなどがもたらす放課後のコミュニケーションツールによる人間関係のトラブルが後を絶ちません。その延長上にいじめが存在している事実があります。

教科学習のつまずきにおいても、その相談の一つに「先生の説明が、早口で何を言っているのかわからない。」「黒板に書くことが多く書くスピードも速いので、ノートに書ききれず小学校の先生と違って待ってくれない。」など授業について行けず個々の配慮がないことを理由に挙げる生徒が、最も多いように思われます。次に宿題が多すぎて対応できないことを挙げています。視覚的な認知の弱さがある生徒(読字的、書字的に)は宿題が一人では消化できません。このような学習面でのつまずきに個々の配慮がない中学校が、多いようです。そしてこのことが学習性無気力の状況を引き起こすのです。まして学力考査の得点や順位が発表される中学校では彼らの居場所がなくなってしまいます。
 
 このようなことが『中1ギャップ』と言うなら、高等部の在籍生は何らかの『中1ギャップ』を抱えています。もう皆様はお判りになる通り、『中1ギャップ』の正体は、発達障害がある生徒の特徴そのものなのです。このことは自然学園に入学した新入生の皆さんにも当てはまることです。中学校時代に特別支援学級に在籍していた皆さんは、中学校時代の学校生活と自然学園での学校生活とのギャップに戸惑うことが多くなるのではないでしょうか?

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