[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~④-1

2018年7月31日

4、SNSと人間関係のトラブルの関係について
子どもたちにとって、連休明けから梅雨入りした今の季節は精神的にもとてもきつい時期だと思います。1年のうちでも一番の頑張りどころです。
 高等部の生徒には、人間関係で悩んでいる人たちがたくさんいます。大半の人たちは、小・中学校時代から同じ悩みを抱えています。常に他人から自分がどう思われているのかを考えている割には、相手の気持ちを考えずに一方的に自分の気持ちを伝えるような言動を取ってしまいます。相手に拒絶され、自分の気持ちを受け入れてもらえないと気付くと相手を批判するか、相手から疎外されたとして相手を遠ざけてしまうことが多いことが一つの特徴だと言えるでしょう。人間関係で衝突した次の朝、急に不安で胸がいっぱいになって登校することが出来なくなってしまうことが、人間関係のトラブルの一つとして繰り返しているパターンともいえると思います。

 中学校の時は行事に参加できなかった人たちは数人いますが、高等部の在籍を重ねる中で人間関係も自然に構築できて、クラスの中での生活が苦痛ではなくなって来たはずです。

しかしながら、人間関係がうまくいくともう一つ踏み込んだ友人関係を要求されるので、距離感や人間関係のタイミングなどをうまく測れない人たちは、時折トラブルを起こしてしまう傾向があります。そして今まで培った誤学習から、自分に同情してもらいたい、自分の気持ちをわかってほしい、複数の人間関係から1対1の関係を求めて、その関係においては唯一無二の存在でないと我慢できない人が多いように思います。友人関係でも、異性との関係でも自分だけを見てくれないとだめなのです。その感情が抑制できないので、問題行動をわざと起こして、注目を相手から受けようとします。そのようなことをすればするほど人の気持ちは離れていきます。そのことがわからないのです。

一度不安定になるとなかなか精神的に回復できないのも彼らの特性の一つです。
入学者の中には、小学校時代から不登校が続いた生徒もいます。その生徒は入学した時より明らかに登校日数が増えていて、週1回休むか休まないかになってきています。朝どうしても起きられず遅れてくる日は時折あるものの、驚くぐらいの回復力を見せています。

このようにほとんどの生徒の皆さんは中学校在学中に不登校やいじめを経験しています。そのことが継続することによって、強迫性障害や統合失調症傾向、拒食過食などの2次的な情緒の混乱に悩んで医療機関に通院している人も少なくありません。学力面での問題に起因する場合もありますが、人間関係のつまずきに起因するケースが非常に多くなっています。最近の高等部の在籍生徒の実例で言うとSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のやり取りの中でトラブルを起こしてしまうケースを多く聞くようになりました。

最終的に社会参加が高等部の生徒の皆さんの大きな課題になります。その課題を乗り越えるには、人との関係性の克服であり、コミュニケーションも含めたソーシャルスキルの獲得に集約されてきます。

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