[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~1

2022年6月13日

1、はじめに

今年は、久しぶりに制限がないGWだったので、行楽地ではここ数年見られなかった賑わいで交通渋滞が続いていました。晴れた日が多かったことも拍車をかけ、家族で旅行に出かけた人も多かったのではないでしょうか。長い休みで生活リズムや勉強習慣が乱れて怠惰な生活を送ってしまった生徒もいらっしゃるのではないかと心配しています。予想できたことではありますが、長い休みの間に生活習慣が乱れたことや、不安定な天気と相まって精神的に不安定になり、週明けには行き渋りが始まった人たちも多いようです。自主的に学習に取り組めない生徒が多いので、自宅学習でご苦労された保護者の皆様もいらっしゃると思います。

そうは言っても長い間の自粛で生徒も家庭での自粛に限界を感じていたように思えます。何もかも忘れて思いきりストレスを発散して、これから訪れる梅雨の「モヤモヤ」した気持ちを吹き飛ばして夏休みまで意欲的に勉強にも取り組んで欲しいものです。

昨年からのコロナ禍での生活に子どもたちが限界を感じているように思います。

東日本大震災の際も、自閉症や多動性障害などの発達障害のお子様とその保護者の方々は、避難所生活の長期化によって、当初にはなかった様々な困難が生じてきたと報告しています。自閉症のお子様は、もともと変化に対応することが苦手です。これまでの日常生活とはまったく異なる避難所での生活は大変なストレスであり、不眠、いらいら、パニックなどの症状が悪化します。また、慣れない避難所での生活は自閉症の多くに見られる聴覚や視覚の感覚過敏症を悪化させたようです。騒がしく、視界に大勢の人が入ってくる体育館などでの避難生活は、一部の自閉症の子どもには堪え難い環境です。一部の避難所で取り入れられたようですが、カーテンやタオルによって周囲の刺激を遮蔽する生活環境がぜひとも必要になりました。避難所では周囲から遮蔽され、夜は暗くすることのできる空間を確保することが望まれます。東日本大震災で被災した子ども達には、発達障害の有無にかかわらず、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や不眠、不安などの症状が見られました。

発達障害のあるお子様は、こうした二次障害が起こりやすいハイリスクのお子様方なのです。自宅にいることが余儀なくされ、いつものルーティンの生活ができない今の状況はお子様方に大きな負荷をかけることになっています。ましてや家庭学習を強いられている家庭のお子様は好きなゲームなどを勉強によって制限されると余計ストレスやイライラが強くなり、パニックや衝動性が起きやすい状況になります。地震や台風など自然災害に非常に敏感になっている生徒がいます。2年以上にも渡る新型コロナ関連の過剰な報道で不安が強くなる特性も発達障害の傾向としては少なくありません。

お問い合わせはこちら