[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~4

2022年6月20日

4、自然学園で学んでほしいこと

新しい環境に落ち着かない人たちがたくさんいると思います。自然学園に在籍する生徒はどちらかというと人間関係を苦手としている生徒の方が多く、クラスメートが変わったり、教科の先生が変わったり、新しい環境に適応するのに時間がかかる人たちが多いのではないかと思っています。

大人の社会人でも、人間関係をうまく構築できる人ほど仕事をスムーズにこなすことができる人だと言われています。人間関係の基本はコミュニケーション力であると言われていますが、大人になればなるほど人間関係の構築には、高いソーシャルスキルを要求されてきます。高いソーシャルスキルとは、相手の気持ちを読み取る能力、相手の気持ちを察して相手の期待する対応や行動がとれることです。このことが、他者と円滑に人間関係を結ぶことができるコツになってきます。人間は誰しもが自尊心を持っていて、自分が大事だと思っています。だから誰もが自分を認めて欲しいという願望が強いのです。幸せだと感じる気持ちは、自分が必要とされているという充実感なのです。私も含めて基本的に人間は自分本位の生き物なので、自分の考えを主張しがちです。仕事ができる人は、自分の主張や相手に対しての要求だけではなく、相手の気持ちを読み取り、相手のやりたいような事柄や条件を満たしてあげる寛容さと推測力の高さを持ち合わせているのです。だからこそ人を動かすことができるのです。そういう意味で仕事ができる人は人間関係がうまく構築できる人なのです。

自然学園高等部に在籍している生徒の皆さんは、どちらかと言うと人の気持ちを読み取ることが苦手な人たちです。自分ではそうではないと思っていても、クラスメートからは自分勝手でわがままだと思われている人も少なくないでしょう。人の気持ちを読めないことは、生まれながらに持っている性格やつまずきとされる特性が起因していることも事実ですが、それだけではありません。自分自身に自信がなくてコンプレックスが強く、自己肯定感が少ない人たちは、その自信の無さの裏返しとして自己主張の強さや他者への攻撃性が、自分の気付かないところで強くなります。それを改善するにはどうしたらよいでしょう。

それは自分自身に自信をつけることが一番有効な方法になります。自分自身には自分でも気付かない、良いところ、悪いところ、できること、できないことがあります。できることは、自分では気付いていないだけで、他の人にはできないけれど誰よりも優れているところだったりもするのです。そのことに気付かせてあげること、できることを褒めてあげてもっとできるようにしてあげること。そして、なるべく多くの成功事例を積み重ねることで自分にできるという実感を植え付けていくことが私たちの役割だと思っています。このことが自己肯定感の高さにつながります。それは『自信』となります。人間関係も自分に自信があれば、自尊心が高まり、心にゆとりが生まれてきます。心のゆとりは、他者を許し、他者の要求や気持ちを、自分の主張より優先させてあげる気持ちのゆとりや心の大きさにつながってきます。そのことができれば必ず、今より人間関係がうまくいくようになるでしょう。

クラスでもお友達が多くなり、自分を助けてくれたり、認めてくれたりする人たちが多くなり、充実した学校生活を送れるようになるでしょう。そのことは将来、就労するためのスキルと直結するのです。

高等部は、皆さんに自信を持たせるお手伝いをして、皆さんが社会に参加できる力を育むための学校です。そのために、お預かりしたお子様の特性を判断するにあたり綿密なアセスメントを行うことを自然学園の基本コンセプトにさせていただいています。そのアセスメントの一つとして、高等部のソーシャルスキルトレーニングの授業や学校行事での活動が大きな役割を果たしているのです。

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