[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~6

2022年6月30日

6、おわりに

5月17日(火)、19日(木)に田植えの農業体験授業を実施しました。地元の農園の方にご用意していただいた水田の一画を、昔ながらの手植えで田植えする機会をいただきました。湿りがちではありましたが、風薫る爽やかな陽気の中、参加した高等部の生徒の皆さんは楽しそうに汗をかきながら腰をかがめて苗を植えていました。今回は実習のあとに農園で収穫したササニシキを米粉にしてピザ生地に練りこんだミックスピザを、町のピザ屋さんと同様ピザ窯で焼いて出していただきました。皆さん美味しそうに食べていました。

今年度は、学校行事も政府の方針に従い、感染対策に力を入れながらできる限り実施していきたいと思っています。生徒の皆さんと授業以外に触れあうことができる機会を積極的に設けていくことが、グループワークを通して協働できるスキルを育み、自立を目的とした自然学園で学ぶことの意義だからです。SST(ソーシャルスキルトレーニング)で学んだことは汎化できなければ意味がありません。効果的なロールプレイングは実践に向けてのリハーサルです。そして行事のフィードバックをクラスで実施して次の行事で生かすことができれば、気付かないところで必ずソーシャルスキルが向上しているはずです。

今まで経験をしたことのないような大変なことが世の中に起きています。私は日頃から彼らに言っている言葉を自分に言い聞かせています。

「大変な辛い時こそ、自分の足元を見て今できること、今やるべきことを精一杯、努力精進すること。」

そんな思いでこの状況に向かい合い、毎日丁寧に過ごすように心がけています。今取り組んでいることが我々の特別支援教育を少しでも前進させることに繋がることに願いを馳せています。

保護者の方々にとってお子様の小中学校から継続している「勉強の遅れ」は最も気になることの一つではないかと思います。自然学園高等部では9月に学力考査があります。今から試験のことで焦らなくても大丈夫です。保護者の方々が気をもむ気持ちは充分理解できますが、あまり厳しく言い過ぎて学習性無気力感が強まる状態を作らないように心がけて欲しいと思います。勉強の遅れはこれからでも十分取り戻せます。大切なことは今までやってきたことを継続することと、勉強を嫌いにさせないことです。そして何より、精神的な安定を図り、学習性無気力のきっかけを作らないことです。

もしお子様の精神面での異変や落ち込みに気が付きましたらすぐにご相談ください。早いうちの対応が2次障害を軽減させる唯一の方法です。

できるだけ早く日常が正常化し、マスクのない生活が回復することと重ねて、生徒、保護者の方々のご健康を願ってやみません。

                        自然学園高等部 学園長 小林 浩

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