[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~4

2021年6月17日

4、自然学園で学んでほしいこと

 

クラスメートが変わったり、教科の先生が変わったり、新しい環境に落ち着かず、適応するのに時間がかかる人たちが多いのではないかと思います。自然学園の在籍生は、どちらかというと人間関係を得意としている生徒より苦手としている生徒のほうが多いのではないでしょうか。

 

大人の社会人でも、人間関係をうまく構築できる人ほど、仕事をスムーズにこなすことができる人だと言われています。人間関係の基本はコミュニケーション力であると言われていますが、大人になればなるほど人間関係の構築には、高いソーシャルスキルが要求されます。

高いソーシャルスキルとは、相手の気持ちを読み取る能力、相手の気持ちを察して相手の期待する対応や行動がとれることです。このことが、他者と円滑に人間関係を結ぶことができるコツになってきます。人間は誰しもが自尊心を持っていて、自分が重要だと思っています。だから誰しもが自分を認めてほしいという願望が強いのです。幸せだと感じる気持ちは、自分が必要とされているという充実感なのです。私も含めて基本的に人間は自分本位の生き物なので、自分の考えを主張しがちです。仕事ができる人は、自分の主張や相手に対しての要求だけではなく、相手の気持ちを読み取り、相手のやりたいような事柄や条件を満たしてあげる寛容さと推測力の高さを持ち合わせているのです。だからこそ人を動かすことができるのです。そういう意味で仕事ができる人は人間関係がうまく構築できる人なのです。

 

自然学園高等部に在籍している生徒の皆さんは、どちらかと言うと人の気持ちを読み取ることが苦手な人たちです。自分ではそうではないと思っていても、クラスメートからは自分勝手でわがままだと思われている人も少なくないでしょう。人の気持ちを読めない能力には、生まれながらにもっている性格や、つまずきとされる特性も起因していることは事実ですが、それだけではありません。自分自身に自信がなくてコンプレックスが強く、自己肯定感が少ない人たちは、その裏返しとして自己主張の強さや他者への攻撃性が、自分の気づかないところで強くなってしまうのです。

 

そうだとしたら、それを改善するにはどうしたらよいでしょう。それは自分自身に自信をつけることが一番有効な方法になります。誰しも、自分でも気づかない、良いところ、悪いところ、できること、できないところがあります。できるところには、自分では気づいていないだけで他の誰よりも優れているところ、他の人にはできないことができることもあるのです。そのことに気付かせてあげること、できることを褒めてあげてもっとできるようにしてあげること。そしてなるべく多くの成功事例を積み重ねることで、できるという実感を植え付けていくことが私たちの役割だと思っています。このことが自己肯定感の高さにつながり、『自信』となります。

 

自分に自信があれば、自尊心が高まり、心にゆとりが生まれてきます。心のゆとりは、他者を許し、他者の要求や他者の気持ちを、自分の主張より優先させてあげる気持ちのゆとり、心の大きさにつながってきます。そのことができれば必ず人間関係が今よりうまくいくようになるでしょう。

クラスでもお友達が多くなり、自分を助けてくれたり、認めてくれたりする人たちが多くなり、充実した学校生活を送れるようになるでしょう。そのことは将来、就労するためのスキルと直結するのです。

 

高等部は、皆さんに自信を持たせるお手伝いをして、皆さんが社会に参加できる力を育む学校です。そのために、お預かりしたお子様の特性を判断するために綿密なアセスメントを自然学園の基本コンセプトにさせていただいています。そして高等部のソーシャルスキルトレーニングの授業や学校行事の活動が大きな役割を果たしているのです。

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