[高等部通信7月号]学園長より~可能性の扉~6

2020年8月10日

6、通信制高校の単位認定について

(単位制について)
高等学校は全日制、定時制と通信制という課程があります。通信制高校に関しては、1961年に学校教育法の一部が改正され、高等学校の課程として位置づけられました。

高等学校の場合は、義務教育課程ではないので3年間以上の在籍で74単位の単位認定を受けないと高校卒業資格を取得できません。そこで学年制と単位制を導入している高校に分かれます。高校の単位の取りやすさで言うと単位制を導入している高校の方が単位を取得しやすいと言えるでしょう。学年生は74単位を3学年で振り分け、学年ごとに決められた単位数の認定を1単位でも不足した場合には留年になるのです。認定の基準として学力考査の得点と出席日数が決められており、得点は基準点をクリアすることと出席日数は各教科の出席が3分の2以上に達していないと留年となり進級ができません。学年制は全日制高校に導入されていて、単位制は定時制高校や通信制高校に導入されている制度です。

(通信制高校の単位認定について)
全日制高校は毎日の授業が180日から210日前後あり、教科ごとの授業時限の年間3分の2以上の出席が義務づけられています。

3分の1以上欠席した場合、学年制での全日制課程の場合、学年で決められた単位数を1単位でも不足した場合学年留め置き(留年)が余儀なくされます。今回のようなコロナでの臨時休校で2年生や3年生は、進級する前月の3月から休校していましたが、私立高校の一部には3月から7月まで休校している学校もあります。

県立高校のほとんどは、4か月間オンライン授業ではなく動画配信と課題学習だったので圧倒的に学習指導要領上のカリキュラムを消化できないままでいます。そのために夏休みを5週間から2週間に短縮して授業を実施するのです。

通信制高校は就労学生でも単位が認定されるように、レポート課題の提出など、自学自習を修学の基本とした高等学校の課程です。
自学自習で理解できないことを直接質問できる面接指導をスクーリングとして年間40~60時間設けられています。自学自習が基本でレポートでの学習が主体となり面接授業といわれたスクーリングを受講し、学力考査の評価で単位が認定されます。スクーリングに通うことができない生徒には、視聴覚学習として多様なメディアを利用して行う学習でスクーリングの10分の6を補うことが認められています。

自然学園は学校教育法第55条に準じた技能連携施設に認められた通信制高校の学習センターなので、今回のようなコロナ禍での臨時休校の場合は、スクーリングに認められる授業の代替で通信制高校が教育委員会に登録した配信動画を視聴すれば休校中の授業は補えるのです。

(現在の通信制高校の形態)
今現在は高校中退生や不登校を経験した生徒の多くが利用するようになったため、通信制高校を希望される生徒のニーズに応えた全日制の学習センター(学習キャンパス)を全国に展開し、ユニークなコースや履修教科を特色とした毎日登校出来る通信制高校が主流になっています。
東京都以外の学習センター(学習キャンパス)の多くは、技能連携施設として教育委員会の認可を得ています。それ以外に通信制高校のレポート学習を補習することを目的として全日制で取り組んでいるフリースクールのような教育施設があります。このような就学環境の変化によって1990年代前半と比較して高校資格の取得率は大幅に上昇しました。
学習センターでは全日制のように1週間の時間割に沿った授業があり、授業でレポート学習を消化できるカリキュラムを導入している学習センターに通い単位を取る学生が多くなっています。そこで受けた授業は同時にスクーリングの受講としてカウントされます。

学習センターには、教育委員会から技能連携施設に認定された技能連携校が多く、そのほとんどの校舎で全日制の時間割と学校行事やクラブ活動が実施されています。したがって学力に自信がなく、大勢の生徒数がいる高校での学校生活は緊張が高くなる通級を利用している中学生や情緒級、軽度の知的な遅れがある知的クラスにいる特別支援学級に在籍の中学生のお子様が、全日制高校と同じような学校生活を送りたいと考えた進路先としてその進学率が高くなっています。
美術や音楽・芸能、美容、食と農、プログラミング、eスポーツなど特徴あるカリキュラムで生徒の意欲を刺激し、将来の夢につなげる学びがあり、また、大学受験に向けた勉強時間の確保もしやすいため、大学受験を意識して選択するケースも多いのです。
2019年度時点で約19万7千人が在籍しています。全国の高校生336万6千人の5.9%の割合を占め高校生の17人に1人は通信制高校の生徒であるといえます。

(自然学園の年間での授業日程と今後の予定)
自然学園ではいつもの日程より数日、1学期の終業式を遅らせています。
毎年夏休み中は、企業見学会を行っており、企業見学会と夏休み期間中の登校日で1週間は夏休みが短縮されています。
2,3年生では企業実習が、1,2週間ある生徒がいるのでさらに短縮されます。実習は授業として扱われます。
星槎国際高等学校の各地域の学習センターは一律夏休みの日程は例年通りとの発表がありましたが、特別支援学校同様就職指導に力を入れている自然学園では、他校と比較しても実習の打ち合わせや事前指導、説明会、見学会等のプログラムが組み込まれているため年間の登校日数は多く確保されています。
さらに新型コロナウイルス感染防止のため「密」が生じる可能性があり、7月までの学校行事は、中止になったため授業時間を多く組み込むことができました。認知のつまずきや発達の遅れ、知的なつまずき等で動画での視聴覚学習の聞き取りを理解する基礎的な学習スキルに困難さが生じているお子様や「読む」「書く」などの認知の困難さがあるお子様は、家庭でのレポート学習が一人では消化できない生徒がいるため、3月の行事日程を変更してなるべく多くの授業日程を例年より多く組み込みます。1年生は、特別支援学級で授業を受けていた生徒の場合、中学校の基礎カリキュラムを消化していないお子様のために大学で行われているリメディアル教育のように小中学校の補習授業としてのリメディアル授業(小中学校での学習内容の振り返り基礎力定着授業)を実施して年間を通してカバーしていく予定でいます。

尚、2学期からの前期学力考査も通信制高校側が試験範囲を従来の出題範囲を大幅に削減して実施する通達がすでに来ています。それに合わせて生徒一人ひとりの学習到達度や感覚統合やワーキングメモリなど認知、知的、感覚的なつまづきに配慮した試験の出題を考えています。

特に新入生の保護者の皆様方はご不安を感じていることもおありかと思いますが、以上の方針で今後の年間プログラムの修正を図っていきます。日頃からの本学園に対するご理解ご協力に感謝しています。今後ともよろしくお願いします。

お問い合わせはこちら