[高等部通信8-9月号]学園長より~可能性の扉~⑥

2018年9月25日

6、第5回 自然学園体育祭についてのお知らせ

10月9日(日)に、自然学園は第5回体育祭の開催を予定しています。今年も昨年同様、春日部市立八木崎小学校の校長先生のご厚意で八木崎小学校の体育館とグランドをお借りすることができました。

いつのことか忘れてしまいましたが、今年で5回を数える体育祭の開催を初めて発表したときの生徒の皆さんの「え~」と言うどよめきを今でも覚えています。

 

私は、どよめいた人たちが、「体育がたのしい!」「体育祭が待ち遠しいな!」そんな気持ちに変わってもらえるような体育祭を実施できる学校になれたらいいと私はずっと思っていました。体育が苦手な人、運動会や体育祭にあまりいい思い出がない人が、本校にたくさんいることを私自身が、一番よく知っています。当初は運動が苦手な生徒に配慮するする意味で体育祭や運動会は実施しないつもりでいました。そんな子供たちが、体育の授業で楽しさを実感するにつれて体育の授業を待ち遠しいと思う生徒が多くなっていると体育科の担当者から聞いていました。

 

自然学園に入学されてきた生徒の皆さんは、もちろん体を動かすことや基礎体力があり持久走などが得意なお子様はいるのですが、全般的に団体競技や子どものころから不器用性があり、ダンスやお遊戯など他の人と同じ動きを模倣したり、リズムや他の人に歩調を合わせながら協応したりすることが苦手な人たちが多いようです。跳び箱やマット運動、鉄棒、縄跳びのような基礎運動ができない記憶がいまだにある人が多いようです。

その理由として、彼らの特性にある物や人との距離感がうまく図れない触覚感覚の鈍さや掴む、にぎる、手を突くなどの力の加減の調節や聴覚、視覚の認知力と運動感覚との連携がうまく統合できないことが挙げられます。それに加えて体幹が弱く、左右の上下のバランス感覚が悪い人が多いので自分が思った通りに身体がコントロールできないのです。

自然学園の体育の授業では、できないことをできるようにするひとり一人のつまずきに応じた課題を克服する支援から始めていきます。たとえば、跳び箱が跳べない生徒なら跳べるようにするには何が必要なのかを提示していきます。手をつく場所、踏み切る位置を手のマーク、踏み切る位置を足のマークで示してスタートから踏み切るまでの歩数と速さを指導します。そしてとんだ跳んだときのバランスの悪さを矯正し、体を補助してあげれば大抵のお子様は跳べるようになります。跳べた事実を精一杯褒めてあげて、そのあと何度も自分自身で練習する意欲を育むことが何よりも大切なことです。跳び箱を跳べないお子様が体育を嫌いではなくなる合理的配慮が必要になるのです。

 

このような体育の授業を実践した結果、体育の授業を休んだり、見学したりする生徒が少なくなってきました。このような生徒の皆さんは、自分の課題に合った無理のない自分に合った体育ならやりたいと思っている生徒がほとんどであり、本質はどの生徒も体を動かすことは好きであると言う確信を私自身、持つことができました。

そして満を持してみんなが参加できる体育祭に踏み切ったわけです。嫌なことのトラウマは成功事例の積み重ねることでしか払拭することはできないでしょう。自然学園の体育祭がきっかけで学校行事や学芸会、運動会、音楽祭などの苦手としている気持ちが少なくなることを願っています。

 

自然学園では、以下のことを体育祭の約束事にしています。

  • チームワークでの勝利を目標に置いて、自分の役割を果たすことに一生懸命に頑張ることが体育祭参加の意義です。
  • 競技の結果だけを見た自分が満足するためだけの勝ち負けにこだわらない。
  • 他者を励ますこと、チームメイトのミスをカバーすること、自分の気持ちに負けないことが、スポーツマンシップであり、自然学園体育祭の理念です。

 

自然学園の体育の授業では、できないことをできるようにする一人ひとりのつまずきに応じた課題を克服する支援から始めていきます。体育祭では、なるべく次の動作がしやすいような指示を具体的に提示することに気をつけ、認知的なつまずきをカバーしていきます。勝敗よりも競技に参加する楽しさが実感できるような合理的配慮を取り入れていきます。

みんなで体を動かして、汗を流して、大きな声で応援して、本当に楽しかったと思える体育祭にしたいと思います。皆さんの活躍を期待しています。体を動かすことや小中学校の時代に体育の授業を苦手としていた人も、精一杯我を忘れて競技に打ち込む自然学園在校生の元気な姿をお見せすることができると思います。

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