[高等部通信9月号①]学園長より~可能性の扉~⑤

2016年4月1日

2学期は学校行事が多い時期でもあるので、学校でのトラブルも多い時期でもあります。
最近、小学生の子どもたちで不登校になってしまう割合が徐々に増えているようです。
発達のつまずきで生きづらさのある子どもたちにとって、10月、11月は要注意です。

何かと学校行事が多いこの時期は、子どもたちも緊張する場面が多くなりがちです。
保護者の方々は、お子様方の様子の変化を見逃さないようにしてください。学校の先生方も非常に忙しい時期になるので、子どもたちのトラブルや、いじめなどで悩んでいる子どもたちを見逃しがちになりやすくなります。秋は不登校になる子どもたちが多い季節でもあります。
自然学園では、このような発達のつまずきのある子どもたちの理解を保護者の方々に深めてもらう機会として、発達障害がある子どもたちの保護者の方々を対象にした発達障害セミナーを自然学園の定期講演会として開催させていただいています。定期的な開催を通じて、保護者の方々と共に、発達のつまずきのある子どもたちのより良い支援方法を考えていく勉強会にしたいと思っています。

特別支援教育の導入に始まる保護者の方々の思いは、学校側の、わが子に対する理解と、つまずきに対する配慮であると思います。担任に対しては、扱いにくい児童・生徒を排除するのではなく、そのつまずきを受け入れ、クラスメートと共に行動できるための支援や、クラス運営に工夫を取り入れた学級経営を強く期待しているのは当たり前のことです。

子どもたちひとり一人の教育的なニーズに配慮した教育サービスの提供は、特別支援教育の理念であるインクルーシブ(インクルージョン)の原点ではないでしょうか?

つい最近までマスコミに盛んに取り上げられていたいじめ問題、教師による体罰や不登校の問題、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用に伴う人間関係のトラブルが殺人事件まで発展した事例が時折報道されるようになった昨今、教育現場で解決できない事柄が年々増えてきているように思っています。そして、いずれの事柄も発達のつまずきを持った子供たちが深くかかわっています。

このような適応しにくい環境に晒された子どもたちを守り、ひとり一人に適した教育環境を選択することこそが、今、保護者がわが子のためにできる重要なことの一つであると考えています。しかし現実には、保護者の方だけで解決するには負担が大きすぎる課題があまりにも多いと思います。

私は、子どもたちが教育を受ける場である学校と、生活の場である地域、そして家庭が連動し合いながら、子どもたちを見守り、正しい方向性を示し、必要があれば解決に動ける能動的なネットワークが、お子様を取り巻く環境において必要不可欠であると思っています。

まずは学校の先生に相談すること、そしてお子様の現状を聞いてもらい、必要があれば、担任の先生からコーディネーターの先生やスクールカウンセラーの先生に引き継いでもらうことも必要になることでしょう。

なかなか理解してもらえない認知のつまずきや、不注意性や衝動性の強さからくる人間関係のトラブル等、社会不適応性が伴う特性など、どのような伝え方が必要か、どのように支援を求めることが受け入れてもらいやすい相談方法なのかを、医療機関の立場から、社会福祉・学校教育の立場から、それぞれのベテランの経験豊富な知恵と公的機関で不登校や発達障害の児童を支援していた事例も踏まえて、上記の事柄についての講演を予定しています。

今年川崎市で起きた13歳の中学校1年生を18歳の少年たちが殺害した事件は、まだ記憶に新しいと思います。その時も盛んに報道されていましたが、スクール・ソーシャルワーカー(社会福祉主事)のような方にアドバイスを受けられる、地域の相談機関の必要性や、地域や学校を巻き込んで、子どもたちのSOSに素早く的確に対応できる、身近な地域サービスの役割を知らない方々があまりにも多いのではないでしょうか。

と言うことで、今回の定期講演会のテーマは、『「わが子のつまずきをまわりの人たちに理解してもらうには・・」~学校や支援機関との連携をいかにうまくはかっていくか~』です。第6回となる定期講演会は9月27日(日)に予定しています。

今回のテーマに沿っては、第一部は、自然学園医療顧問の海老島先生にお話しいただき、医療機関に携る立場から、お子様のために、学校や地域の行政機関とこれだけは実行してもらいたい連携の取り方と、お子様についての相談内容を、事例を踏まえたうえでお話ししていただきます。

第二部は、社会福祉主事で本学園の発達心理カウンセラー、スクール・ソーシャルワーカーを担当されている小川先生が、39年間の情緒学級に携ってきた経験を踏まえて、小中学校の教員が知らなければいけないこと、知ったうえで実行しなければいけないこと、および地域の行政機関との関わり方、相談の仕方について講演していただく予定です。

高等部の保護者の皆様のご参加をお持ちしています。

自然学園学園長 小林 浩

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