[高等部通信9月号]学園長より~可能性の扉~4

2019年11月1日

4、第15回定期講演会
自然学園では、9月8日(日)に定期講演会を大宮ソニックシティ 603会議室にて行います。自然学園では、発達のつまずきのある子どもたちの理解を保護者の方々に深めてもらう機会として、発達障害がある子どもたちの保護者の方々を対象にした発達障害セミナーを定期的に開催しています。今回の定期講演会のテーマは『発達障害の特性を生かした働き方、仕事の選び方~拡大する発達障害者の雇用における可能性と企業の選び方~』です。
松為信雄先生は発達障害者の就労支援では、日本の第一人者で障害者就労の研究者でありスペシャリストです。専門は職業リハビリテーション学です。早稲田大学卒業後、雇用促進事業団職業研究所(現:労働政策研究・研修機構)研究員、日本障害者雇用促進協会(現:高齢・障害・求職者雇用支援機構)障害者職業総合センター主任研究員、東京福祉大学教授、神奈川県立保健福祉大学教授、文京学院大学教授、文京大学人間学部 人間福祉学科客員教授、厚生労働省労働政策審議会障害者雇用分科会委員、日本精神障害者リハビリテーション学会常任理事、「ニッポン一億総活躍プラン」フォローアップ会合 議員を経て2017年より現職になっています。著書に『発達障害の子どもと生きる』(幻冬舎ルネッサンス新書)、『これでわかる発達障がいのある子の進学と就労―充実した子どもの将来のために』(成美堂出版・共著)などがあります。
私が大学部のカリキュラムの参考にとたまたま手にした松井先生の著書に強く感銘を受け、今まで自然学園で取り組んできた、発達障害がある児童生徒、学生が将来の自立に至る学校教育としての支援内容や目標の置き方にずれがなかったことに確信が持てました。それ以降、松為信雄先生の講演会に足を運び、より深いお話を聞く機会に恵まれ、講演会の会場で自然学園のサポートをお願いしたことが今回の講演に結びついています。松為先生の講演は今回で5回を数えます。

障害者雇用促進法における法定雇用率が平成30年4月から2.2%になり、令和3年4月までにはさらに0.1%引き上げられます。 法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が、従業員50人以上から45.5人以上に変わりました。1億総活躍プランに障害者の社会進出は不可欠であり、平成17年に発達障害者支援法が施行され、現在では障害者雇用の中心は精神障害者手帳および知的障害者手帳を持つ発達障害者が中心になっています。この現状における発達障害者の企業への就労に関する業務や条件等の現状についての情報、さらに、今後の展望など障害者を受け入れる企業側と企業を選ぶ側である障害がある人たちが、定着できる企業をどのように見分けたらよいのか。また離職率が高い企業はどのような企業なのか。自分の特性を生かした仕事を得るためには、どのような準備が必要なのか。そのことを企業はどのように考えているのかを今回のテーマにしました。働き方改革の一つとして注目されているテレワークは情報通信技術を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態を言います。テレワークの導入は障害者就労における大きな希望になっていくと思います。特に精神障害者にとっては、自分の特性と長所を生かせる就労の機会が得られることにつながる働き方における重要な選択肢になるのではないかと考えています。

多くの企業のアドバイサーなどを務め、採用関係者とも関係がある松為信雄先生に直接お話をお聞きし、これから就職を考えている人たちにも参考になるような講演会にしたいと思っています。保護者の皆様のご参加をお待ちしています。

松為信雄先生は、日本のジョブコーチ制度の創設に貢献しただけではなく、現在は「1億総活躍社会の実現」に向けた具体策を話し合う「一億総活躍国民会議」の民間議員15名の1人として就任されていて国家のために尽力されています。平成30年からはじめられた高等学校における特別支援教育の導入に際して、「高等学校の通級学級による指導の制度化」の実現に向けてスーパーバイザー的な役割を果たしていました。昨年4月より制度化された高等学校での通級における特別支援教育の導入で最も重要なことのひとつである発達障害がある高校生の就労支援において重要な提言をされてきた立場の方です。残念ながら発達障害がある高校生が精神障害者保健福祉手帳を取得し、障害者雇用での就労を考えた場合、企業に就労する場合にはインターンシップ(企業実習〉が必要になります。通級による支援で企業実習を事実上実施している高等学校はほとんどありません。
松為信雄先生は平成28年5月に法制化された合理的配慮に関する研修を一般企業から依頼を受けてよく実施されているそうです。そのようなキャリアを通したご経験や企業の採用担当者が、発達障害者に対してどんなことを求め、実際の就労の際には適性を踏まえたうえでどのような業務を依頼しているのか、現状としてそのことがうまく機能しているか、発達障害者の定着率はどのような状況なのか、職場での合理的配慮の具体事例や実際に起きたトラブルや業務上の問題など個々の事例もあわせてお話ししていただく予定です。またこれからの障害者雇用における発達障害者の雇用状況と、これからの展望や能力や適性を生かした就労を実現するためにはどのような努力や就職活動をすればよいかなどを、求職している人たちやこれから就職活動を行う予定の人たちにアドバイスをしていただくことも考えています。

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