[高等部通信9月号]学園長より~可能性の扉~2

2020年9月28日

2、新学期からの不登校生の増加について

毎年5月の連休明けから不登校が多くなりますが、今年は6月の中旬から7月上旬にかけて不登校が多くなることが予測されていました。そしてもう一つの大きな波が新学期になったこの時期です。もともと梅雨の時期は鬱になりやすい時期で5月に続き適応障害が発症しやすい季節です。例年より梅雨が長く、6月中旬から7月にかけて通常登校が再開した後夏休みが短縮され、授業が8月も実施されることになり、猛暑が連日続く中で、生活のリズムが戻らないまま疲労が蓄積して精神的にも不安が強くなっている子どもたちが多いと報道されています。

このような状況の中、クラスでも気持ちにゆとりがなく部活動もできない子どもたちはイライラした気持ちから人間関係もギスギスしたものになりいじめや人間関係のトラブルが多くなります。

自分に自信がなくクラスに居場所がない子どもたちはますますその気持ちを強くさせ、緊張感が高まる不安さで情緒が混乱する人も出てくるでしょう。

5月病とは5月の連休前後に何となく憂鬱になり、軽い鬱が発症し、大人も子どもも会社や学校に行くことが辛くなる状態をいいますが、緊急事態宣言で休校が続き、短い夏休みが終わり8月中に新学期に突入し、現在に至る状況は5月病が遅れてきてもおかしくないほど子どもたちには負担が高まることが予想されます。9月に入ると台風の季節になり気圧の関係で精神的な不安定さが強くなるといわれています。

2学期のこの時期は毎年、不登校や自殺が増える傾向にありますが、今年は感染者に対する「コロナいじめ」や、変化を余儀なくされた家庭生活のストレスといった新たな要因から、例年以上にリスクの高まりが危惧されます。教員の多忙化によって兆候が見逃される恐れもあり、教育現場で緊張感が高まっているとの産経新聞の報道がありました。

勉強面でも1学期を過ぎたぐらいから勉強がわからなくなって諦めてしまうお子様が多くなる時期でもあります。不登校の理由として挙げられている「無気力」は授業について行けないことから学習無気力の状況が生まれ、嫌なことから逃避してしまい、不安の強さから不登校に至る状況が含まれています。このように生じた自己肯定感の欠如は、少しの人間関係のトラブルや、からかいにも敏感に反応して情緒の混乱を招き、強迫性障害や不安障害につながるケースは珍しくありません。不眠や過呼吸など精神的な不安が体に表れている人もいます。また不安が大きくなり情緒が混乱して家や学校でパニックになったり、家庭で暴れたりしてしまっている人もいます。このように自己肯定感の低さが学校での居場所を無くし、不登校に結びつくと一般的には言われています。

このような状況は高等部に在籍している生徒の場合、小学校や中学校で学校への行き渋りや不登校を経験している人は少なくないので、身に覚えがある人はいると思います。

そんな皆さんが1学期から休校や分散登校など慣れない環境で先が見通すことができず、予定の変更を余儀なくされる状況において気持ちの安定を保ち、指示に従い課題を消化して学校の再開に備えて準備をしていたことは称賛に値することです。6月中旬から通常登校が再開し、夏休み後、新学期が始まっても5月病や新学期からの登校への不安で情緒が安定せず、行き渋りなどの症状がある人は一人もいなかったことがうれしい限りです。生徒の皆さんの体調の変化がなかったことも非常に喜ばしいことでした。

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