[高等部通信9月号]学園長より~可能性の扉~6

2020年10月12日

6、第12回自然学園 思いやり収穫祭のご案内

今回で12回目となる自然学園の学園祭である『思いやり収穫祭』を10月31日(土)、11月1日(日)に行います。今回の思いやり収穫祭は、コロナ禍での実施を迷いましたが、生徒がグループワークを学ぶ最良の機会であり、長い休校でまだ新しいクラスに馴染めず緊張が強い1年生などクラスが一つにまとまることができるきっかけになればとの思いから開催の決定をしました。

また協働での取り組みでお互いのことを今まで以上に理解してほしいと思っています。自然学園に在籍している生徒の皆さんは、誰もが「できないこと」を抱えて、周りからそのことを理解されずに辛い思いをしてきた人たちです。「自分のことをまずクラスメートに理解をしてもらいたい」と入学した誰しもが思っているはずです。

2年生は目に見えてわかる成長をさらに伸ばす機会にしてほしいものです。今まで努力を積み重ね自立に向けて実践できる力を育んできた3年生は、最後の学園祭で最大限の力を発揮してほしいと思ったことも開催を決意した要因です。もちろん3密を最大限配慮した内容になるので模擬店の出店や音楽祭の内容は大きく制限されることになります。保護者の見学も初日の土曜日に限らせていただきます。保護者の皆様にはご理解をお願い申し上げます。

12回目となる自然学園の学園祭も、秋を彩る一大行事として定着してきました。今年の『思いやり収穫祭』のテーマは『生命(いのち)』にしました。

新型コロナウイルス感染拡散防止のため2月27日に発表された安倍晋三首相の小・中・高の公立学校の休校要請を受けて埼玉県の公立学校では、3月2日(月),3日(火),4日(水)から休校になりました。緊急事態宣言が4月7日に発令を受け6月まで臨時休校が続き東京オリンピック開催も来年に延期になりました。

分散登校を経て通常登校が実施されたのは高等学校では7月になってからです。自然学園では6月から分散登校を行い6月15日から通常登校を開始しました。

緊急事態宣言の発令で自然学園がある埼玉県は、隣接している東京都、千葉県とともに対象地域に指定され、東京都、神奈川県に続き、人の集まる施設に4月13日から休業要請を行いました。自然学園では入学式も含めて予定の変更を行い、国や自治体の方針に伴い休校の決定をしました。

何より国民およびお預かりしている生徒の命と健康を第一に考えた決断でした。

高校生ならば日本国憲法に定義されている国民の3大義務である「勤労」「納税」「教育」はご存じかと思います。国民の労働で経済活動が行われ国民の安定した生活が担保できているのです。労働から得られたお金の一部が納税という形で国を運営する資金に充てられます。子どもたちに普通教育を受けさせる義務は国の将来を担う人材を育てるためです。憲法において義務とされている「勤労」「教育」を止めてまで守らなければいけないことが人類にはあるからです。それは一人ひとりの生命(いのち)のです。人の生命ほど大切なものはありません。教育は人の生命の大切さを教えるものです。

 ネットいじめや書き込みを苦にして、自らの行為で大切な若い命が失われている現状があります。生まれてきたことに感謝しその命は何よりも大切にしなければいけません。他者の生命(命)も同じことです。

コロナ禍で生活に組み入れられたマスク着用や手洗いは、自分の感染を防ぐだけの手段ではありません。人に感染させないことが大きな目的です。それは新型コロナウイルスで一人でも大切な生命(いのち)を奪われないための手段です。

『思いやり収穫祭』は小・中学部、高等部、大学部もすべて参加する大きなイベントです。

小・中学部、高等部、大学部は、「クラスの協力を第一に自分の適性を生かしながらクラスに貢献し、不得意なところはお互い助け合い補うこと」「クラスの一人ひとりの子どもたちに気配りをし、お互いに敬意を払い、認め合うこと」このことを、学園祭を実行するうえでの目標におくことを教職員の先生方にお願いしました。

人の生きがいや喜びは一人ではなし得ないことです。他者と協力し、気持ちを分かち合うことで生まれてくることです。在校生の皆さんの一人ひとり異なった個性や能力的な凸凹、それぞれ異なった苦手さを持っている人たちがお互いに認め合い、それぞれの欠点を補い合うことで日ごろから目標としている『協力』『協働』が実践できた時に、はじめて皆さんはその場所に自分の居場所を感じることができるでしょう。

お互いを慈しみ愛することは生命(命)を尊び、何よりも大切にすることです。このテーマを理解し、思いやりの気持ちを持って他者を大切にする気持ちを持つことが「思いやり収穫祭」の最大の目標です。生徒一人ひとりがそのような自覚を持って取り組んでくれれば素晴らしいことだと思います。

高等部の保護者の皆さんがご参加いただいくことで、学園祭が活気を帯び、学部の生徒たちの励みになることでしょう。ご理解・ご協力をお願い申し上げます。

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