[高等部通信10月号]学園長より~可能性の扉~4

2020年11月9日

4.第7回自然学園体育祭についての報告

高等部通信新学期特別号でもお知らせしたように、10月4日(日)に、自然学園では第7回体育祭が行われました。当日は、朝から小雨がぱらつく曇りがちの天候でしたが、徐々に雲の切れ間から日差しが差し込み秋のさわやかな天気になりました。三密に配慮した特別プログラムで臨んだ初めての体育祭でしたが、予定通りのプログラムで行うことができました。限られたプログラムではありましたが、生徒の皆さんが力いっぱいグランドを走る姿を見ることができました。自然学園らしさを十分発揮できた体育祭であったと自負しています。

自然学園の体育祭に参加するまで、運動会や学校の体育の授業が嫌いな子どもたちは、勝ち負けにこだわりパニックになったり、協調運動など感覚的なつまずきがあり粗大運動が苦手で運動会や体育の授業で失笑を買ったり、チームが負けた責任を負わされたり、動きが遅れ周りに合わせられなく教員から注意を受けたりした負の記憶がある人たちが多いと思います。
またスピーカーから流れる音楽や大声、ピストルの音など、感覚過敏が強い人たちにとって耐えることができない環境が体育祭にはそろっています。勝ち負けのこだわりを少しでも少なくするために障害物競走を取り入れ、脚力だけではない勝ち負けの要素を付加しました。またその際のジャンケンも負けた感を強くもたないために旗揚げ上げジャンケンを導入するなど三密を防ぐ工夫以外にも細部にわたり考えられるだけの工夫を凝らしました。今までの経験を集大成とした素晴らしい体育祭であったと思っています。

どの生徒もチームワークを考えて、チームのメンバーと歩調を合わせ、高ぶる気持ちを抑えながら参加することができていたように思いました。「大玉ころがし」も「台風の目」も大玉や棒をうまくコントロールしながら、スピーディーに操作するコツを練習で身に付けているようで、速く走ること、操作することの同時処理に苦心しながらも、どのチームも危なげなく、すばやく観客席の前を駆け抜けていました。

障害物競走、選抜リレーに参加を申し出てくれた選手の皆さんは、誰もが順位に関係なくゴールを駆け抜けるとガッツポーズを作っていました。この姿こそ私が考えた体育祭に参加する生徒の理想の姿です。ガッツポーズは、くじけそうな気持ちに打ち勝った証です。相手との勝ち負けではなく、自分に負けないことを目標に全力を出し尽くすことが、体育祭を通して皆さんに経験してほしかったことです。皆さんはその期待に十分応えてくれました。そして順位に関係なく声援を送り続けていた他の生徒の皆さんにも感激しました。最後まであきらめない、自分に負けないそんな生徒の気持ちが見ている人たちにも十分伝わった体育祭でした。勝ち負けにこだわりトラブルが起きたり、気持ちが不安定になり投げやりな態度を見せたりした生徒は一人もいませんでした。コロナ禍での開催をご理解いただき、保護者の皆様が最後まで応援していただいたことにこの場を借りてお礼いたします。

自然学園の体育の授業では、できないことをできるようにする一人ひとりのつまずきに応じた課題を克服する支援から始めていきます。体育祭では、なるべく次の動作がしやすいような指示を具体的に提示することに気をつけ、認知的なつまずきをカバーしていきます。勝敗よりも競技に参加する楽しさが実感できるような合理的配慮を取り入れています。体を動かすことや小中学校時に体育の授業を苦手としていた生徒が精一杯我を忘れて競技に打ち込む姿に感動しました。

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