[高等部通信10月号]学園長より~可能性の扉~6

2020年11月16日

6.おわりに

自然学園では、秋の風物詩である稲刈りを毎年の恒例行事である農業体験授業の一環として実施していました。春の田植えにはじまり、秋晴れに恵まれた田んぼにコンバインの音が遠くから聞こえてくる長閑な春日部の田園地帯の一区画を農業実習のためにお借りして、昔ながらの鎌での稲刈りを経験させてもらっています。稲を手刈りすることも角度や力加減などが難しく、見ることとやってみることでは大違いです。今のお子様方は、昔に比べてはるかに視覚教材やテレビゲーム、タブレットのソフトなどバーチャルで経験できる学習に恵まれています。しかし頭の中の理解や五感も含めた感覚統合を働かせて感じ取った経験が不足している子どもたちが多いように思います。
鎌を振りおろし、稲穂を束ね、天日干しする作業に汗をかき、枯草の匂い、ほほにあたる秋風のさわやかさなどを実際に体感することで、イメージが湧いて深く理解できることが世の中にはたくさんあります。ご飯や野菜を口にしたときのありがたさは、口で言っても理解できるものではありません。このような授業が、自然学園の理念を実践している教育の一端です。自然学園の年に1度の文化祭である『思いやり収穫祭』のネーミングはこのような自然と対峙する体験学習を教育的な一つの理念の文化行事として考えたものです。

人は生まれながらに能力の違いがあり、それを個性として一人ひとり受け入れ、その命を精一杯全うすることが大切であること、自然と対峙する学習の機会をお子様方に経験させながら、気象状況の変化を受け入れながら今できる努力をすること、自然と調和しながら生きることの大切さと重ねて考えられるような大人に成長してもらいたいと願いを込めています。

残念ながら高等部では天候不良により中止になってしまいました。学校行事が多い時期ですが、コロナやインフルエンザだけではなく心の健康にも注意しながら、深まる秋に一日一日を大切にしながら一つずつ、一歩ずつできたこと、楽しい思い、充実した満足感を積み重ねて成長につなげてほしいと思っています。

自然学園学園長 小林 浩

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