[高等部通信11月号]学園長より~可能性の扉~5-①

2020年12月14日

5、自然学園のキャリア教育①

学校教育でのキャリア教育や働くことを考えた場合、特別支援学校の単独校(職業科)のように1年生からの企業実習を目指し、職業および生活に関わる基礎的なスキルの獲得と「一般企業への就職」を明確な目的として「セルフマネジメントスキル」「コミュニケーションスキル」「作業遂行スキル」という働くために必要な3つの力の育成を具体的に学ばせることが重要になります。特に高等学校でのこのような具体的な取り組みは、残念ながら実施されていません。発達障害者支援法が成立し、2006年に「発達障害者」を含む精神手帳取得者が障害者雇用の法定雇用率に換算され、2018年には企業での雇用が義務化されました。現在では精神手帳を取得しているまたは取得しようとしている発達障害のある生徒が高等学校には確実に在籍しているはずです。通級指導が法令化された現在でさえ、キャリア教育として企業での実習やインターンシップを導入している高等学校は少ないと思います。

自然学園では、「自分は何に向いていて、何ができるのか」「働くことの意義は何か」「働くこととは具体的にはどういうことなのか」について企業見学会や就労体験を学習カリキュラムに組み入れながら、具体的に考えさせ、自分なりの答えが導き出せるように1年次から3学年を通した継続的なキャリア教育の推進を目指しています。

この見学会で働くことの意義が理解できたら、その後どのような目標をもって3年間を過ごしていくかがキャリア学習のポイントになります。一つずつ習得しなければいけない課題をクリアするにつれて、自分の目標がはっきりするはずです。その積み重ねが、就労スキルを育み、企業での実習で認められれば就労の実現にまた一歩近づきます。そのために必要な授業をキャリア学習授業として年間の学習計画に組み入れています。各学年の時間割は、一人ひとりの将来的な自立を考えた実践的なカリキュラムを導入しています。夏休みの企業見学会はその中の一つの取り組みです。

2年生からの時間割では、選択教科で実際の企業で要求されるPCの活用も含めた作業スキルの修得や、実社会で必要とされる日常マナーの習得などを目指しています。社会に参加する上で、敬語や正しい言葉遣いは必ず必要になることです。そして、特例子会社であっても業務依頼や指示に対する正確な返答や、ある程度のコミュニケーションスキルは必要不可欠で勤務する上での条件として提示されてくるでしょう。

3年生ではこれらに加えて問題解決技能訓練を前提として、就労の際にイレギュラーな問題やアクシデントが生じた場合に、あわてずに、的確な伝達ルートに従って情報を責任ある立場の職員に正確かつ迅速に報告することができ、柔軟な発想力で問題から生じる被害を最小限度に収拾できる判断力や、未然に防ぐことが出来る対応力を養うSSTを導入しています。まさしく働く上で必要になる実践力、ビジネススキルのマスターにつながる授業です。アサーショントレーニングもその一つです。

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