[高等部通信11月号]学園長より~可能性の扉~6-①

2020年12月21日

6、学習支援で大切なもの①

高等部のお子様方にある興味の偏りという特徴は、興味を持てることに対してとても高い集中力や持続力を発揮して夢中になって取り組むことが出来るということです。また、自信があって取り組める課題はやるべきことが明確に示されていればその手順に従って粛々と取り組める能力はある子たちだと思います。

鉄道ファンの人たちには、学校の漢字は覚えられないのに駅名なら漢字で覚えてしまう人が多いことが一つの例です。偏りがある能力を興味が無いものにでも発揮できるようになればと保護者の方は常にお思いになっていることでしょう。

お子様の特徴である好きなことに対するこだわりや執着心は、認知レベルの困難さをいとも簡単に凌駕する能力を潜在的に秘めています。

記憶に残るメカニズムは、「見たもの・聞いたもの」の中で興味、関心、必要性を感じたものがイメージとして残り、そのイメージを繰り返し思い出し、その情報を他の情報と関連づけることでイメージが鮮明になり記憶として残るものになります。

興味がある駅名は何度も繰り返し見たり、読んだりする機会があり、大好きな鉄道やそれに関連する駅などの記憶やイメージと重なりより確かな記憶となります。ただ単に駅名の漢字を覚えることとは異なり、好きなことで得たいくつかのイメージ(視空間的・言語的)が重なり、記憶を支えることで自分でも不思議なぐらい覚えられるのです。当然、興味が無いことはこうはいきません。

しかし今英語教育でLD傾向のお子様方に効果的であると言われるようになった多感覚学習法と同じように、視覚や聴覚、体を動かしながらの触覚などの記憶をイメージとして重なり合わせれば、そのお子様によって偏りがある聴覚からの記憶、視覚からの記憶、すなわち「読む、書く、聞く」の苦手さ、またそれらの情報を処理するために必要な感覚的なイメージの想起を得意な感覚的な学習方法の導入で補えることが分かってきました。覚え方の工夫が出来るということです。

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