[高等部通信1月号]学園長より~可能性の扉~1

2021年1月28日

1、はじめに
 
 2020年は、コロナ禍における休校や夏休みの短縮、学校行事の縮小など、予定の変更などが大きなストレスになる発達障害傾向の生徒の皆様にとっては、大きな精神的な負担が強いられた年だったようです。

 ここのところ増加傾向が止まらない不登校児童生徒の問題もコロナ禍での生徒の状況がたびたび話題として取り上げられました。平成30年度の文部科学省の統計では、小学校、中学校、高等学校いずれも昨年比を大きく上回っていて小学校の増加率が目を引きました。また不登校の割合では圧倒的に中学生の割合が3.6%と高い結果でした。不登校の理由やきっかけとして家庭の問題を除き学校の問題では、人間関係のトラブルと学力不振が挙げられていました。

 高等部の生徒の皆さんも小中学校時代に行き渋りや不登校を経験していた人たちは少なくないはずです。

 (いじめを除く)人間関係のトラブルなどは、発達障害傾向がある人たちの特色である「質問が終わる前に出しぬけに答えはじめる」「しゃべりすぎる」「順番を待つことが難しい」「他人を妨害したり邪魔したりする」「衝動的に自分の思ったことを口にしてしまう」ことに起因している可能性が高いです。また自分の行動の基準や考え方が自分本位で周りに合わせることや協調することが苦手です。物事の重要性を大げさに言ったり、逆に否定的なことを簡単に考えてしまったり、考え方が極端に走りがちで白黒で判断してしまうことが多くあります。しかもこのような特色を自分ではわかっていないことがほとんどです。自分を差し置いてこのような欠点をあげつらい攻撃してしまう人もいます。自然学園のように少なからず上記のようなつまずきがある人たちがクラスで多い場合には、時折人間関係で摩擦が起きてしまうのは必然であるといえます。
小学校、中学校で通常級にいた場合は周りから疎まれ、いじめや疎外の原因になってしまう可能性が高いのです。

予想されたことですが高等部の各クラスで多少のトラブルが報告されています。気持ちのゆとりがなく、次々にやらなければならない課題が積み重なると些細なことでも他者との摩擦は起きるものです。先の見通せなさがストレスになり他者への攻撃性につながってきます。

自分自身には自分でも気づかない、いいところ、悪いところ、できること、できないことがあります。できるところには、自分では気づいてないだけで他の誰よりも優れているところ、他の人ができないことができることもあるのです。そのことに気付かせてあげること、できることを褒めてあげてもっとできるようにしてあげること、そしてなるべく多くの成功体験を積み重ねることで自分にできるという実感を植え付けていくことが自己肯定感の高さにつながります。それは『自信』となります。人間関係も自分に自信があれば、自尊心が高まり、心にゆとりが生まれてきます。心のゆとりは、他者を許し、他者の要求や他者の気持ちを、自分の主張より優先させてあげる気持ちのゆとりが心の大きさにつながってきます。自分で自分自身を受け入れられてこそ、周りの人たちをつなげることができるようになります。そのことが学校やクラスにも自分の居場所が見つかるきっかけになり、他者との人間関係が今より上手くいくようになるでしょう。

それにより、クラスでも友達が多くなり、自分を助けてくれたり、認めてくれたりする人たちが多くなり、充実した学校生活を送れるようになるでしょう。そのことが将来、就労するためのスキルに直結していきます。

寒さが厳しくなりますが保護者の皆様におきましては、新型コロナの感染および風邪などお引きにならないようにお体をご自愛ください。

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