学園長コラム 可能性の扉

2013年5月20日

 学習性無気力の状態とは、漢字の習得ができないと
一方的に叱責されたり、できないことを無理やりやらされて、
その外的苦痛から逃れることができないときに生まれる未学習です。
未学習とは苦手なことから意識的、無意識的に
逃れようとして、経験し習得しなければいけない学習を
身に付けることのできない状況を指します。
 彼らのモチベーションを上げることは、
『「自分で実行できる量の練習や努力によって、
改善が得られるのだ。」と分からせてあげること、
「できた、やればできた、ほめられた」という経験こそが、
やる気や意欲につながり、苦手だった課題が、
対処すべき課題になり、運動やあそびの意欲にも
つながっていく』という竹内吉和先生がお話しされていることは、
まさしくその通りだと思っています。
 
 例えば、「聴覚認知の弱さをもったAちゃんに
Bちゃんが話しかけます。「Aちゃん、遊ぼう」
Aちゃんは聴覚認知が弱いことで、すぐに反応ができません。
Aちゃんが知らんぷりをしているのでBちゃんは、
ほかにあそび相手を探しに行ってしまうのです。
このような、辛く切ない思いを重ねていく中で、
自信がなくなったり、不安が増大化してしまうのです。」
それ以外にも「外に出なさい」と指示されたことに、
反応できず教室内でうろうろしているAちゃんに
先生が厳しく怒ったことなどで、その子の不安が
増大化してしまうことなどもあります。
 発達障害がある子どもたちの不安は、
このような環境の中で増大化し、それが緊張につながり、
不登校に結びついてしまいます。
外に出られないAちゃんに対して、竹内吉和先生は、
「おそと」と黒板に書いてあげるか、
外を示す絵か写真を見せる視覚的な支援があれば、
不安が増大することを防ぐことができると言っています。
 このような、彼らに関わる指導すべき立場の人の
「気づき」のなさが、彼らの不安を大きくして、
この時期の不登校や無気力に結び付いているのです。
 自然学園では第一にアセスメントを重視しています。
それは、このような状態から彼らを立ちなおらせる唯一の術が、
アセスメントの結果に隠されているからなのです。
 自然学園では、アセスメントに基づく
個別支援計画を前提にしながら、一人ひとりの子どもたちにあった
認知の支援を実践しています。
そして彼らにモチベーションを育ませる支援を
教育理念の根底に掲げているのです。
 自然学園では、バンブー教室の子どもたちには、
今できる課題を提示して無理せず、学習が継続できる
プログラムを進めています。
宿題を出す場合でも、できる範囲で、
意欲的にできる量・質を考えて出していきたいと考えています。
 中間試験があっても、決して焦らなくても大丈夫です。
保護者の方々も、気をもむ気持ちは十分理解できますが、
あまり厳しく言い過ぎて、学習無気力の状態を
作らないように心がけてほしいと思います。
 大切なことは、今までやってきたことを継続していくことと、
勉強を嫌いにならないことです。中間試験の対策は、
各担当講師が実施しますので、テスト範囲が発表されたら
ご遠慮なくお伝えください。
自然学園 学園長 小林 浩

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