バンブーだより 6月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-6
2024年7月12日
6,「ワーク・キャリア」コース、「ワーク・ステップ」コース、
夏期講習から登場「ジョブ・トライアル」コースについて
バンブー教室では新しいコースとして「ワーク・キャリア」コースを開設しています。認知や不注意性や不器用性は特別支援学校の職業科、単独校の入試でも作業実技考査でも苦手さとして露呈してしいその焦りからくる緊張の強さから作業が手につかなくなってしまった発達障害傾向があるお子様の相談を幾度となくお聞きしたことがあります。
口頭からの指示だけで作業を遂行することや指示書だけを頼りに業務を遂行することは、ワーキング・メモリに問題のあるお子様方は苦手です。このような認知の偏りを試されることが作業実技検査であるならば、軽度の知的障害があり、知的なつまずきより認知や感覚統合に問題がある、言語的な短期記憶や処理、視空間領域での短期記憶や処理に苦手さのあるお子様や手先の不器用さがあり微細運動が苦手なお子様や体全体を使うような粗大運動が苦手なお子様などいずれかの苦手さがあるお子様は提示された作業課題に対して大きくハンデを負うことになります。
実際は最近の発達障害がある精神の障害者就労の実情を見てもこのことは大きな業務上のハンデにはならずむしろ積極的な合理的配慮を実践する企業が多いことが定着支援を通してもわかります。
最近の企業が軽度知的障害者や発達障害者に求める仕事の傾向としては、認知や不器用性のつまずきに対しては構造化を徹底し、できるだけ手順を簡略化、パターン化して、ルーチンの手順を理解すれば、正確に仕事を遂行し、集中力や持続力が高い人たちの雇用を積極的に進めている企業が少しずつ多くなっているようです。具体的な仕事としては名簿作成、PCデータ入力、発送業務、資料作成、スキャン業務、ファイル整理、仕分け、校正、DM郵送、コピー、シュレッダー、袋詰め、のり付け、宛名書き、押印、名刺作成、パンフレット作成、社内便等の事務作業などです。「数える」「折る」「封入する」などの能力が求められる軽作業業務でも目と手の協応や感覚統合の訓練を重ね、事前に作業工程を理解し、可視化されたプログラムに従い、作業確認を絶えずしながらの作業ならば、先の見通しながら落ち着いて目の前の業務に取り組み、継時的な業務処理がゆっとりをもって行える能力が備わっていると私は考えています。
発達障害がある人たちには、同時処理力や継次処理力を要求される複雑な業務でさえ、やりこなせること能力があることを企業から認められています。またグループワークの際のリーダーとしてチームをまとめることや業務管理ができる資質を兼ね備えている人たちもいます。将来企業側から有望視されている人たちは自然学園の卒業生でも珍しくありません。発達障害の人たちは、やるべき手順ややり方、こなさなければいけない分量などが明確になっていれば、不安が少なくなり人並み以上の集中力で正確に仕事が消化できる人たちが多いのです。人付き合いが苦手で、言葉の巧みさを持ち合わせてない人でも事務処理や入力作業などは、業務を限定し作業工程を一律にマニュアル化することで、先の見通しがつくようになり、次の作業が図れるようになる人が多いのです。そして会社に自分の業績がみとめられ、少しでも会社に貢献しているという気持ちが持てれば自己肯定感は高まり、まわり人たちとの関係性も良くなり、必然的にコミュニケーション力が高まります。その中でビジネスマナーやグループワーク、「報連相」が養われるようになると思います。
バンブー教室のワークキャリアコース(ステップーワーククラス、マスターワーククラス)はそのための基礎力を育むクラスです。将来の企業実習や社会自立に必要なスキルを学ぶ講座なのです。そのことを踏まえて自然学園では、企業に受け入れてもらえるための社会倫理やビジネスマナーを教えて、会社の理念やルールに沿った行動が実行でき、ほかの社員と歩調をあわせて協調できる社会的なスキルを獲得させることに力を入れています。そして自分の欠点を把握させることからはじまり、認知の偏りの対策としてメモや確認作業を徹底させ、トラブルの報告、困ったときの相談がスムーズにできるようなグループワークを重視して職場に適応できるためのスキルを教えています。認知の苦手さを克服できる作業訓練や指示の受け方やビジネスマナー、グループワークなどが以上に相当する授業になります。
また人との関わりが苦手で、相手の立場に立って人の気持ちを考えられない特性を持ち合わせているは、コミュニケーションスキル、ソーシャルスキル・トレーニング(SST)などの授業があり、まわりの人たちとうまくつきあうための実践スキルを養成する講座になります。
冬期講習で実施するワークス・キャリアクラスとしては、指示がうまく入らず、継次処理が苦手なお子様を対象にした『ワークスステップクラス』、実際に企業実習の際に求められる必要最低限の作業スキルを養成していく『ワークスマスタークラス』を新しく設定しました。個別学習コース、やグループ学習である総合学習コースでも受講できるようになっています。
『ワークスステップクラス』は、感覚統合などの問題で不器用性が強く、なかなか仕事が進まず、指示された業務内容が完遂できない、ワーキングメモリが弱く、実施する作業手順を頭に記憶しながら、作業をすすめることが苦手で次に何をしたらよいのかわからなくなってしまう人のためのコースです。一つ目は感覚統合の訓練を進めながら、実際に手先の器用さが必要とされる業務や粗大運動の能力が必要とされる清掃や会場設営などの作業を体験させ、その作業が習得できることを目標としています。二つ目は一定の時間内に作業が終了し、正確性が高い業務が遂行できるにはワーキングメモリの視空間領域の短期記憶と作業処理力の向上が不可欠です。体を動かしながら、暗記力を高めるゲームや運動訓練を実践するとともに、その能力が求められる作業課題を繰り返し実習します。3つ目は2人一組でのペアワークを課題として他者の共同作業ができる協同するための、コミュニケーション力をゲームや作業課題を通して育ませていきます。このような訓練は小学校、中学校で実践される理科実験や家庭科の調理実習、総合学習など研究発表などの班行動で必要とされる作業スキルのみならず同時処理、継次処理力、コミュニケーション力に直結します。委員会活動やロングホームルームの際のグループディスカッションにも役に立つ実践力に基礎となることでしょう。
『ワークスマスタークラス』は『ワークスステップクラス』のトレーニンング課題をさらにレベルアップした応用的な課題も取り入れながら、より実習や将来的な就労に必要な実践力を育む講座になります。発達障害がある人の特性である認知の偏りは言語領域での短期記憶が必要な口頭からの指示や処理を必要とされる指示書やマニュアル書類、メール等のSNSでの指示など業務を委託するうえでワーキングメモリの問題からくるつまずきは職場でのミスやトラブルに直結する彼らの特性です。どのように自分自身でも工夫すればこのようなつまずきからくるミスやトラブルが防げるのか、どのような配慮を企業側に求めたらよいのか一人ひとりに合わせた課題を実践し、繰り返しロールプレイすることで、特性を考慮したうえでできることを応用した指示を受けるうえでのパターンを習得することに力を入れていきます。作業に関しても事務作業、軽作業のどちらも一定の水準で消化できる作業スキルを実践的な訓練していきます。そして実際に企業が導入しているグループワークを課題としてしましながら、それに必要なソーシャルスキル、コミュニケーションスキルを育ませていきます。事務作業では必須になっている資料・名簿の作成、データ入力、スキャン業務などPC操作の基礎を実践での演習を通して身に着けていく講座です。
実践的な就労スキルを学べる新しいコースとして『ジョブトライアルコース』があります。企業の実習を目標として企業で働く設定での模擬体験がコースです。この経験からビジネスマナーや作業訓練等を含めた自分に必要な就業スキルの獲得を実践で身につけることができます。対象生徒としては特別支援学校や高等学校、大学在籍で職場実習を控えて不安を感じている人などですが、働くことに対して、イメージが湧きにくい人で不器用性が強く、作業に苦手さがある人など中学生の方も受講可能にしています。新コースの目的としては職場での1日の流れを体験することで、緊張が緩和し、先を見通せることで、要領の悪さからの脱却を図り、職場の実習を経験しても柔軟な対応ができ、段取りよく業務がこなせる基礎的な作業スキルを身につけることにあります。