バンブー教室:バンブーだより1月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3

2025年2月22日

無理なく学習を進めるには・・(バンブー教室の教育理念)

前回のバンブー便りでもお伝えしたように昨年度の不登校の総数は、小学校が13万370人(前年度比24.0%増)、中学校が21万6112人(同11.4%増)であったと文科省が公表しています。11年連続の増加でその理由となる内訳が非常に気になるところです。その内訳は、「やる気が出ない等の相談があった」32.2%が最も多く、「不安・抑うつの相談があった」23.1%、 「生活リズムの不調に関する相談があった」23.0%、「学業の不振・頻繁な宿題の未提出」15.2%、「いじめ以外の友人関係をめぐる問題」13.3%の順で多かったとのことです。

この報告にあたってバンブー教室として着目するべき点としては、割合としては圧倒的に多い「やる気がでない」の項目が1位を占めていて、昨年までの統計では「無気力」としていたと記憶しています。「無気力」の中には「学習無気力」も含まれていて、割合としては4位に当たる「学業の不振・頻繁な宿題の未提出」がリンクしている項目であると判断できます。

そして、発達障害の特性である認知発達の偏りと言われる視空間ワーキングメモリの弱さや聴覚的な言語に結び付くワーキングメモリの弱さなど「読む」「書く」「聞く」など学習や日常生活の基礎となるつまずきは、この統計にも深く関与していると思われます。

バンブー教室の生徒のことを考えると、通常級で授業を受けている生徒は、特に黒板に書かれている文字を書き写すことが苦手で、そのことが心労になっているように感じます。その苦手さは、視空間のワーキングメモリの弱さや感覚統合の問題に起因した不器用性や目と手の協調性などに関係しています。眼球運動にも起因している場合があると言われています。だとするとうまく書けない苦手さは、決して努力が足らない訳ではないのです。実際は、まだ写しきれていないのに黒板を先生に消されてしまったり、書き写すことの遅さを注意されたりして投げやりになってしまっている人が大半なのです。

また、授業中配布されたプリントの説明を先生から受けている際に、何枚目の何番の何項目を説明しているか、説明箇所を聞き逃して話している箇所を探してしまった経験がある人もいると思います。先生がクラスの生徒に対して、一斉に話す内容を聞き漏らしてしまうことがよくある人は、言語的なワーキングメモリの弱さがある可能性があります。決して授業中別なことを考えて「ボー」としているわけではないのです。でも、そのことが続いて、授業内容が理解できなかったり、先生から質問されて質問内容がわからなかったりすることが立て続けに起こると、自分は他の生徒と比べて勉強ができないと諦めて投げやりになってしまっているのです。

学習に対する無気力は、このようなことから起因する場合が多いのです。発達障害傾向の子どもたちは、このような状況が学校生活でも継続すれば、複雑性PTSDの症状が発症しやすく情緒が不安定になりがちです。このような状況は、不登校の理由となる内訳の2番目に割合が多い「不安・抑うつの相談があった」に関係してくる項目です。そうだとすると、決して怠惰で学校の授業を不真面目に取り組んでいたり、授業をさぼったりしている訳ではないのです。

毎日、自分のできないことに取り組んでストレスが強くなり心の負担が限界に近づくにつれて、現実から逃げてしまいたい衝動が強くなります。もともと興味の偏りがあるADHD傾向の子どもたちは、ゲームなど自分の興味がある好きで没頭しやすいことに夢中になりやすい傾向があるので現実から逃避する対象として、ゲームやYouTubeなどに依存する傾向が強くなります。ゲームなどに依存してしまうと学校の勉強や宿題などを拒絶して、昼夜の見境が付かなくなり生活リズムが崩れてきます。このような状況の延長が、不登校になると考えられていて、不登校の理由の3番目に当たる「生活リズムの不調に関する相談があった」という項目と密接な関連性が考えられます。

(※コラムに掲載されたものを一部抜粋しております。)

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