バンブー教室:バンブーだより12月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3

2025年3月28日

(2)ワーキングメモリを補う学習支援

漢字の記憶の場合、視空間的短期記憶の弱い生徒は、書き順を追って何度も漢字を書き写し、視覚から認識した漢字を構成するパーツの形や位置情報を記憶することが困難です。繰り返しの書写は生徒にとっては「書く」ことの負担も重なり、記憶することまで至らないばかりではなく学習意欲も減退してきます。その場合、言語的短期記憶で覚えた数詞やカタカナなどの音節文字の字体を想起させて「学ぶ漢字」をイメージさせることで記憶として残りやすくなります。また部首などの形の表記をことばによって、イメージさせて記憶を助ける覚え方も効果的です。視空間的短期記憶のつまずきを優位な言語的短期記憶で補助することが、このようなつまずきのあるお子様には必要になってきます。文章読解などは、言語性ワーキングメモリの弱さから、内容が読み取れない(読み進めると書かれてあることを忘れてしまい、整理できず文章理解に結び付かない)お子様には、イラストや写真などと結び付けて文章を読み、内容を整理することで読解の力が上がることが確認できます。このことは優位な視空間的短期記憶で、言語的短期記憶の弱さを補う学習支援であると思います。

算数が苦手なお子様は、先ほどお話しした数処理の音声情報の記憶から、数の具体的な量を視空間の記憶として、イメージ的に置き換えることの困難さを「おはじき」などの具体物を利用し、視覚から認知して数えることで数処理を補うことができます。文章題なども問題を解くために必要な視空間性ワーキングメモリの弱さをイラストや図などでイメージ的に置き換えを補助することが可能です。足し算や掛け算の「ひっ算」で必要とされる繰り上がりや引き算で必要とされる繰り下がりの数を、視空間的短期記憶の弱い生徒は記憶することができず、暗算を間違えやすいのです。「ひっ算」の表記に繰り上りの数を明記する欄を補助することで、視空間的短期記憶の弱さを補い「ひっ算」を間違え難くする学習支援に結び付きます。

このことからもわかるとおり、一人ひとりの感覚的な偏りや情報を処理する認知力の凸凹を把握できれば、どのような覚え方なら記憶し処理しやすいのか、どのように課題を提示したら課題に取り組みやすくなるのか、どのように問題や課題のプリントを工夫したら解答欄に答えが書きやすくなるのか等4を考えて課題や問題に取り組めるようになることは不可能なことではありません。

以上のことを学習支援の課題に取り入れながら、一人ひとりの学力的なつまずきに対応し、学習が定着する授業をバンブー教室では心がけています。

(※コラムに掲載されたものを一部抜粋しております。)

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