バンブー教室:バンブーだより3月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-6
2025年4月9日
実践できるSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)とは
社会参加に必要である能力を身に着ける訓練を、ソーシャル・スキル・トレーニングとして発達につまずきのある児童・生徒の療育や社会性の育成や問題行動の改善に役立てています。人とのかかわりの中で、年齢が高くなるにつれてより高いレベルのソーシャルスキルが要求されるようになります。人への気遣いや配慮は、それをできる人が普通の人と見なされ、それができない人は、おかしな人として「空気が読めない人」などと揶揄される風潮があります。
人間関係のつまずきがきっかけで、学校生活がうまくいかない経験を持っている人たちは多いのではないでしょうか。
人は、人それぞれ自分の価値観があり、自分だけの世界観を持っています。自分だけの心の内で大切にしている感情や思いを、平気で踏みつけるような行為は許されない行為として認識されています。
そのような一人ひとりが持っている心の内に、土足で踏み入るような言動や行為を無意識にしてしまう人がいます。「うざい」という言葉を最近では大人まで使うようになりました。「うざい」は他者に対して、適切な距離感で接することができず、相手からしてみると不快に感じる距離感で、人の触れてもらいたくない心の内まで踏み込んでしまう人に使われる言葉になっているでしょう。このような人は、他者との人間関係をうまく築くことはできません。そしてこのことに悩む人たちは、ADHD傾向の特性を持った人など、大人の発達傾向の人たちも子どもたちと同様に多いと思います。
「人の気持ちになって行動しなさい」、「自分がされて嫌なことは、人にもしてはいけません」、「みんなとなかよく、協力しながらクラスの仕事をしなさい」、「人が嫌がることをやってはいけません」など、ご両親や学校の先生に一度は言われたことがある言葉ではないでしょうか。実はこのことが理解できないこと、実行できないことがつまずきになっている人たちは、自分では人に受け入れられない意識がないのです。
具体的にいうとそのような人は、人の気持ちを理解することができません。相手の立場になって、自分のことのように相手を思いやる気持ちは持ち合わせていないのです。自分の思いや考えを押し通して行動することが、行動する規範になっているので、どうしても他者との摩擦が起こってしまいます。
人が、こころよく思っていないことにあまり気づくことができないので、人に助けてもらったり、人に協力してもらったりすることを、今までしてもらったことの経験が少ない人たちなのです。ですから、協力や協調するということに対する感覚自体、持ち合わせていないかもしれません。いつでも自分のルールや価値観が先行してしまう傾向があるので、親しい友だちにさえ、その人がいなければ悪口を陰でいうことは平気です。だから、友だちだと言っても、まわりの人から見ると仲が良いのか悪いのかわからないのです。
状況を判断して、他者を気遣うことや人の顔色や相手の態度を見て、他者に合わせるような
対応が苦手です。ただし、人の顔色や相手の態度は、自分が不利な立場に置かれている場合には、非常に敏感に対応し、嘘をつくことさえ気にしない生徒もいます。このような社会性の問題は、認知機能からくるつまずきにも起因していると言われ、そこに起因する学習の問題や、身体的なつまずきからくる作業的な問題も、社会性のつまずきにはつながりがあります。
バンブー教室では、このような人たちを対象にした「相手の気持ちを理解するための他者の表情・状況理解トレーニング」「自分の感情をコントロールするトレーニング」「思いやりトレーニング」など認知のつまずきの改善に働きかける学習を行いながら、自分の間違った考え方や感情、思考に修正を加え問題行動を減らすための「ソーシャル・スキル・トレーニング」を、個別学習コースではすでに実践しています。
(※コラムに掲載されたものを一部抜粋しております。)