バンブー教室:バンブーだより4月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3
2025年4月16日
4,特別支援教育を必要とする発達障害傾向のお子様の現状
文科省の統計によると発達障害があるこどもの2006年の調査では、全国7,000人だった数が2019年の統計では7万人になり、2020年では9万人を超えており、統計の数だけで言うと14年間で14倍にも増加しています。少子化で子供の数の減少に対して反比例しているように増え続けています。
通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒について、実態や支援状況を明らかにするため、文部科学省は2022年1~2月、調査を実施し全国の公立小中高校から対象校を抽出して集計・分析した結果が2022年12月に公表されました。その調査によると、小中学校の通常学級に在籍する子どものうち、8.8%が「学習面又は行動面で著しい困難を示す」ということが明らかになりました。「知的発達に遅れはないものの学習または行動面で著しい困難」を示し、注意欠陥多動性障害(ADHD)など発達障害の可能性があると推定された小中学生は8.8%で、前回調査(6.5%)よりこちらも増加しています。
メディアの報道で文科省の担当者は増加の要因について「保護者や教員の発達障害への理解が進み、対象者に気づきやすくなった」と分析を公表していて、学習面などに困難が生じる児童生徒の割合は学年が上がるほど低くなる傾向があると考えられています。高校生は今回初めて調査対象となり、発達障害の可能性があるとされた生徒は2.2%でした
障害や学習の困難を抱える児童生徒はその程度に応じて特別支援学校や学校内の「特別支援学級」で学び、特別支援学級の在籍生徒数も2倍にも膨れ上がっているようであるとのことです。
今回の調査で発達障害の可能性があるとされた小中学生のうち、通常学級に在籍したまま必要に応じて別教室などで授業を受ける「通級指導」を利用していたのは10.6%でした。教室内の座席の配置や本人の習熟度に応じた課題など、教員による「授業での個別の配慮・支援」を受けていない児童生徒も43.2%いました。
そのような生徒のほとんどは教員側から見ると授業についていくことが困難な生徒で、知的な遅れがさほど問題ではないのにもかかわらず「教科書を読むこと」「板書をノートに書くこと」「先生の話を聞き取ること」「先生の質問に答えること」が困難で集団授業に参加できない生徒も多く含まれていると考えられます。
そして、これらの「授業での個別の配慮・支援」を受けていない43.2%の児童生徒は勉強に意欲をなくし、勉強や宿題に一切手を付けず投げやりの状態から学習無気力になり、未学習であるがゆえに学力不振が深刻な状態になっていると言えます。
先に述べたように自己肯定感が低下は無気力、情緒の混乱、不安の強さなど具体的な症状が現れ、一般的に2次障害といわれる不登校をはじめとして家庭内での器物破損、暴力、鬱や強迫性障害などの精神障害などの状況がみられている実情も無視できない現状だと考えます。
自然学園でもお預かりしているお子様には専門の医療機関で診断を受けても「発達障害」の診断されないお子様は少なくないと思います。特にWISCⅣ、V等の知能検査で定型発達の範囲にその指数があるお子様は様々な困難さや通常学級での不適応が生じているケースでも診断がついていないケースは多いと思います。
発達障害と間違えられやすいお子様にみられる共通点としては成育歴の中で養育者との愛着関係がうまく築かれない家庭環境があり、発達の歪みが問題行動に結び付いているケースであり、発達障害の特性とおなじような症候がみられるお子様や朝起きられない、夜眠れないなど情緒面での不安や混乱がみられるお子様は医療機関から起立性調節障害などの診断がある子もいて、昼夜逆転した生活の中でゲームやSNSなどの依存的な状態に陥っているお子様が多いと思います。