バンブー教室:バンブーだより5月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-4

2025年5月18日

5,特別支援学級に在籍している子どもたちの進路について

通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒について、実態や支援状況を明らかにするため、文部科学省は2022年1~2月、調査を実施し全国の公立小中高校から対象校を抽出して集計・分析した結果が2022年12月に公表されました。その調査によると、小中学校の通常学級に在籍する子どものうち、8.8%が「学習面又は行動面で著しい困難を示す」ということが明らかになりました。「知的発達に遅れはないものの学習または行動面で著しい困難」を示し、注意欠陥多動性障害(ADHD)など発達障害の可能性があると推定された小中学生は8.8%で、前回調査(6.5%)よりこちらも増加しています。

メディアの報道で文科省の担当者は増加の要因について「保護者や教員の発達障害への理解が進み、対象者に気づきやすくなった」と分析を公表していて、学習面などに困難が生じる児童生徒の割合は学年が上がるほど低くなる傾向があると考えられています。高校生は今回初めて調査対象となり、発達障害の可能性があるとされた生徒は2.2%でした

障害や学習の困難を抱える児童生徒はその程度に応じて特別支援学校や学校内の「特別支援学級」で学び、特別支援学級の在籍生徒数も10年間で2倍にも膨れ上がっているようであるとのことです。

今回の調査で発達障害の可能性があるとされた小中学生のうち、通常学級に在籍したまま必要に応じて別教室などで授業を受ける「通級指導」を利用していたのは10.6%でした。教室内の座席の配置や本人の習熟度に応じた課題など、教員による「授業での個別の配慮・支援」を受けていない児童生徒も43.2%いました。

そのような生徒のほとんどは教員側から見ると授業についていくことが困難な生徒で、知的な遅れがさほど問題ではないのにもかかわらず「教科書を読むこと」「板書をノートに書くこと」「先生の話を聞き取ること」「先生の質問に答えること」が困難で集団授業に参加できない生徒も多く含まれていると考えられます。

そして、これらの「授業での個別の配慮・支援」を受けていない43.2%の児童生徒は勉強に意欲をなくし、自己肯定感が低くなり、無気力、情緒の混乱、不安の強さなど具体的な症状が現れ、一般的に2次障害といわれる不登校をはじめとして家庭内での器物破損、暴力、鬱や強迫性障害などの精神障害などの状況がみられている実情も無視できない現状だと考えます。

バンブー教室では多くの特別支援学級在籍がお子様を多く在籍しています。通信制高校の技能連携施設に認定されている自然学園高等部でも支援級に在籍していた生徒の割合が多くなっています。

ここ数年通常級から特別支援学級に転籍した生徒が増えていると言われています。特に小学校3年生ぐらいから支援学級に転籍するケースが増えていると報じられています。2,013年(平成25年)と2,022年(令和4年)の10年間を比較すると、小学校で120,906人から250,335人と10年間で約2倍に増え、中学校で53,975人から99,812人と約1,8倍となり、小学校、中学校と合わせると約2倍になります。そこで注目すべき点は、在籍生の内訳として知的障害の在籍生徒数は小、中、義務教育学校までの総数の統計が90,403人から156,661人と約1.7倍の伸び率なのに対し、自閉症・情緒障害の在籍生徒数は74,116人から183,618人の2.4倍まで上昇していることです。

また、通級に通う児童生徒についても、2,013年(平成25年)と2,022年(令和4年)の10年間を比較すると、ASDの児童生徒が12,308名から36,760名と約2.9倍に増え、情緒障害も8,613名から24,554名と約2.8倍の伸び、LDの児童生徒は、10,769名から34,135名と約3.1倍へと伸び、ADHDの児童生徒に関しては、10,324名から38,656名となり、なんと約3.7倍の伸びとなりました。

このことを見ても通級を利用している生徒のみならず特別支援学級に在籍する生徒に関しても自閉症・情緒の生徒がここ10年間で在籍生が多くなっています。ADHDやLDのお子様はもとより情緒のお子様や自閉症でもアスペルガー症候群や高機能自閉症などの診断があるお子様は療育手帳が取得できないので高等学校の進学を将来的に考えなければなりません。

現在、特別支援教育を必要としている中学生の進路選択でお悩みになっている保護者の皆さんが多いと思います。特別支援学級に籍を置いている生徒の皆さん中には特別支援学校の進学だけではなく高校学校の進学を考えになっている人たちが多くなってきました。高校卒業後の進路を考えたときに就労実績の豊富な特別支援学校職業科単独校の受験を考えている人もいると思います。一方で情緒級や通常級の在籍で通級などを利用されているお子様方は療育手帳が更新されないケースや精神保健福祉手帳しか取得できないケースが多いので高校進学を考えなければいけない状況に置かれているお子様も少なくないでしょう。

ではそのような状況の彼らでも進学できる高校があるのか。あるとするとどのような高校なのか。入学できる条件はあるのか。入試はあるのかなどお知りになりたい情報が多いのではないでしょうか。自然学園では、早くから高等学校における特別支援教育の導入をめざし、発達障害者を積極的に受け入れている特例子会社をはじめとした企業との連携を図り、障害者就労枠での就職も進路の選択肢に含め、進路指導をすすめています。

今回の進路説明会では、高等学校での特別支援教育の実状と発達障害がある子どもたちの高校進学の現状および、発達のつまずきがあるお子様が選ぶべき進路について、最近の進路実績を交えながら、ご説明をさせていただきます。当日お越しいただいた方には、個別の面談もさせていただきます。お子様の進路に関してのご相談やご質問等も個別でゆっくりとお伺いいたします。

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