バンブー教室:バンブーだより7月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3

2024年8月9日

3,バンブー教室夏期講習について・・・

 

【小学生「基礎学力コース」「苦手特訓コース」】

バンブー教室の夏期講習では小学生の総合コース・個別学習コースを設けています。少人数のグループ学習での勉強を進めることで学習環境に変化をつけ、集団行動や集団授業での適応力を身につけるきっかけづくりにご利用ください。低学年で求められる読む力・書く力などの基礎学習から深刻な学力不振でお悩みになっているお子様には基礎学力コース、読み書きのつまずきや算数障害などLD傾向があるなどが理由で、教科や課題によってできることと全く取り組めないことがあるお子様には、国語・算数それぞれの苦手特訓コースを設けております。学力の向上には1学期につまずいた課題やそれにともなう基礎的な学力の定着を育む必要があります。新しい学期の最初の授業からついていくことができるようにしっかり備える努力はなかなか一人ではできないものです。そのためにぜひ受講をご検討下さい。

小学校に入学して1年生の1学期から授業に参加できないお子様や学年が上がるにつれて「読む」「書く」ことの苦手さが徐々に露呈して漢字が書けない、答えを解答欄にうまく書き込めないなどのつまずきから勉強自体が投げやりになっているお子様方がいます。このようなお子様の場合、未就学の時期から特殊音節と言われる「きゃ」「きゅ」「きょ」などが1音としてうまく認知することができず、ひらがなとして書いても「きや」や「き」など間違った記述をしてしまうお子様が多いです。ひらがなも「ま」「わ」など丸みがあるひらがなはうまく筆記できず形が模写できません。大抵のお子様は筆記するための枠からはみ出してしまいます。

 

算数についても数唱と数字を習得できると自然と数の連続性である序数性や数量などの基数性がイメージづけて思考できるのですが、全体の量からその数を予測するなどの概念の理解の弱さがあり、数をイメージすることが極めて苦手であることから計算や文章題に必要とされる「計算」や「推論する」などの数処理ができないお子様は、特別支援教育が必要とされる発達障害傾向のお子様のケースだと思われます。そのようなお子様の学習指導としては上記のお子様の認知発達の特性を把握したうえで学習支援を考え提示しなくてはなりません。

 

既存の学年に対応した問題集の問題を解いていてもお子様の負担になるだけで学習が向上する手助けにはまったくなりません。6月号の「継次処理、同時処理」でお話しさせていただいたように物事の分かり方(認知の仕方)には,2つのタイプがあります。それが「継次処理」タイプと「同時処理」タイプのお子様です。

「継次処理」とは,ひとつずつ物事を順番に考え,処理を行っていくことが得意なタイプです。「同時処理」とは,まず全体を把握してから,細部を認識していくことが得意なタイプです。

 

たとえば算数を例にするなら、先ほどお話しした「この数は何番目?」など序数性の概念が得意なタイプは「継次処理」タイプであり、全体の量で数を予測する基数性の概念が得意なタイプは「同時処理」タイプなのです。また漢字の学習の仕方で例えるなら、書き順で覚えやすいタイプや書き順で覚える際に視覚的な手がかりや言語的な手がかりがあればさらに覚えやすくなるタイプは「継次処理」タイプであり、漢字の形状や「つくり」「へん」「部首」など漢字の全体像をイメージしながら覚えやすく分解して構成する覚え方を得意とするタイプは「同時処理」タイプのお子様です。

このような一人ひとりの認知発達の偏りやつまずき、特性に配慮した教え方や課題の提示の仕方を導入した学習が特別支援教育であり、学校の勉強をあきらめて投げやりになっているお子様ほど、ぜひ一度夏期講習で試していただきたい勉強の仕方です。

 

【中学生「基礎学力コース」「弱点克服コース」】

中学生には総合コース・個別学習コースとして基礎学力コースと、認知発達のかたよりやつまずきに起因して、教科や課題によってできることと全く取り組めないことがあるお子様方に対応できるコースとして、弱点克服コースという課題ごとのクラスを設けています。中学生で勉強につまずいている人は、認知や感覚の偏りからくる人には見えないつまずきが起因して、授業や学年相応の学習について行けず、勉強ができないと思い込んで勉強を放棄してしまっている人たちが多いと思います。このような人たちは学年相応のテキストや教材をベースにした単元学習では勉強を理解することが困難です。知識や演習の積み重ねで学力が向上し、ワーキングメモリの容量に収納する記憶が思考するための土台になります。LDなど発達障害の人たちは思考を展開してアイデアを広げられず、物事を俯瞰的にイメージすることができないため、一般的に用いられる覚えることを主体とした繰り返し学習や遡り学習で勉強時間を費やしてもなかなか効果が上がりません。よく先生や保護者がついて一緒に学習すると、その時は解けるのに一人になるとできない、または公式をすぐに忘れてしまうと言う声をよく聞きます。問題を解くためのイメージがつかめないため独りでは、問題を展開し解法するための手順を考えることができません。先生や保護者が一緒のときはヒントを与えてくれることで解法の手順が理解できるので問題がその時は解けるようになるのです。まして文章題は太刀打ちできなくなるでしょう。

 

だからこそ何が理由でできないのかを把握して、そのつまずきを補う学習環境の提供や認知の優位性を配慮した情報の伝達や教材、ノートなど教具の工夫による的確な学習支援を授業や指導にも取り入れていかなければ学習効果が上がりません。彼らに合わせた学習方法を確立させることが大切だと思っています。

 

【WISC-Vについて】

現在WISC-Ⅳという知能検査がWISC-Vという最新の検査になりました。一番大きく変わったところは、なんといっても測ることができる指標の数がWISC-Ⅳでは4つ(言語理解、知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度)だったところから5つ(言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリ、処理速度)に増えたことです。

比較頂ければわかるようにWISC‐Ⅳの4つの指標全てがWISC-Ⅴで新しい指数に入れ替わったわけではありません。WISC-ⅣではPRI(知覚推理)と呼ばれていた、「初めて目にする情報から、適切な答えを推理する力」が、WISC-Ⅴでは視空間(VIS)の「目にした物を理解する力」と流動性推理の「与えられた情報をもとに適切な答えを推理する力」という2つに分かれたのです。

下位検査の項目でも視空間(VSI)では積み木模様に加えて※『パズル』が新しい検査項目になりました。流動性推理(FRI)では行列推理に加えて※『バランス』が新しい検査項目になりました。またワーキングメモリ(WMI)では『数唱』の他、※『絵のスパン』が、新しい検査項目になりました。この項目によって聴覚情報だけではなく、視覚情報を記憶して問題解決する力も指数として見ることができるようになりました。

この変化は特別支援教育が必要なお子様のつまずきを知るうえでとても大切な情報を支援する側にもたらせてくれることにもなるでしょう。

 

【WISC-Vの結果からわかること】

この新しい指標を用いることで、なぜ漢字を覚えることが苦手だったのか、板書を書き写すことが苦手だったのかがわかります。また、視覚からの認知が弱いと感じていた人が、視覚からの与えられた情報をもとに的確な答えを推理する力は高いと分かることで同時処理的な指導が適切であるという確証を持って支援することができます。

 

今までのWISC-Ⅳでは、知覚推理(PRI)が低いという結果が出ていたお子さんはたくさんいました。しかし、このお子さんが「目にした物を理解する力」が苦手なのか「与えられた情報をもとに適切な答えを推理する力」が苦手なのか、PRIの数値を見るだけでは分かりづらかったのです。中には、空間認識はとても強いけれどこれからのことを予測することは大の苦手というお子さんもいらっしゃいます。

その場合、PRIの得点は平均的なものとなってしまい、せっかくの強みに誰も気がつかない、という事態が起こってしまう可能性がありました。

それがWISC-Ⅴでは二つに分かれて、「目にした物を理解する力」と「与えられた情報をもとに適切な答えを推理する力」をそれぞれ見ることができるようになりました。WISC-Ⅴでは他にも変わったところがあります。それはワーキングメモリ(WMI)という、記憶する力をみるための指標に関する部分です。今までのWISC-Ⅳは、ワーキングメモリ(WMI)は「聞いたこと」をどれくらい覚えられるかという検査しかありませんでした。しかし、WISC-Ⅴには、「見たこと」をどれくらい覚えていられるかという力も測定できるようになったのです。

ワーキングメモリは作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力です。その能力は目で見たことを覚えたり、目にしたものを理解したり、目で見た情報をもとの適切な答えを推理するなどの視空間のワーキングメモリと、聞いたことを覚える力と聞いたことまたは文を読んだ音を聞くことと同じように言語として理解したり、聞いたり読んだりする情報をもとに整理し、まとめる能力や適切な答えを推理したりする言語的ワーキングメモリがあります。

 

具体的には板書を書き写す力などの能力は、視空間的短期記憶と言われる目で見たことを一時的に保持できる覚える能力であり、視空間性ワーキングメモリと言う見た情報を処理する能力は図形の平面図(展開図)を立体として考え、立体の完成形を想像できる能力であり、ダンスやラジオ体操を模倣して覚えることにも必要な能力です。また言語的短期記憶とは聞いたことを覚え理解する能力で、人の話を聞くことや口頭からの指示を理解する能力などです。言語性ワーキングメモリと言われる音声情報を処理しながら保持する能力で作文、文章読解、算数の文章題はもとより話し合いなどに必要な能力なのです。

 

このようなお子様の能力的な偏りやつまずきがWISC-Vでは指標によってよりわかりやすくなります。それによって具体的にできない教科やその教科の中でもできる課題とできない課題の違いがお分かりになると思います。算数なら計算、文章題、図形の問題、表やグラフの問題など国語なら漢字や文章の読解、作文などです。またそれらの習熟度によっても違いがあります。

 

自然学園の夏期講習はこれらの発達のつまずきがあるお子様方特有のできなさに焦点を当て、お子様ひとり一人の苦手さ、課題を克服することに目標を置き、小学生の「基礎学力コース」

「苦手特訓コース」、中学生の「基礎学力コース」「弱点克服コース」のプログラムを提示させていただきました。

※『パズル』…視覚からの情報を分析する力

※『バランス』…量的な推理力や類似的な推理力

※『絵のスパン』…視覚からの記憶を保持できる力

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