バンブー教室:バンブーだより7月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-4

2024年8月11日

4,終わりに

夏期講習をきっかけに学習意欲が高まり、2学期の受講に結びついていただけることを期待しています。夏休みを有意義にお過ごしください。地域の公立学校によって最近は学期制の様々な違いがあり、バンブー教室のように広範囲の地域の方々がお越しになっていただくため、開始の時期や終了の時期に1週間のタイムラグを設けています。

 

特別支援学級の生徒の皆様方は、受験を意識した無駄のない学習時間を確保する必要があります。高校入試を考えているお子様はもとより、特別支援学校の入試を考えている生徒の皆さんもこの時期に合否のポイントになる自分の苦手課題や実技課題をマスターできる機会です。家庭学習や学校での学習では追い付かないつまずきがある教科、課題を整理して復習していきましょう。

 

バンブー教室の生徒の皆さんには、この時期に特に人間関係で悩んでいる人たちがたくさんいます。大半の人たちは、小中学校時代から同じ悩みを抱えています。常に他人から自分がどう思われているのかを考えている割には、相手の気持ちを考えずに一方的に自分の気持ちを伝えるような言動を取ってしまいます。相手に拒絶され、自分の気持ちを受け入れてもらえないと気付くと相手を批判するか、相手から疎外されたとして相手を遠ざけてしまうことが多いことが一つの特徴だと言えるでしょう。そのようなトラウマが起因して、クラス以外のコミュニティでもほんの些細な出来事にも繊細に反応して必要以上に動揺し、絶望の淵に立たされたような思いになってしまう人が少なくありません。集団生活での経験が少ない生徒は新しい進学先で中1ギャップと同様の経験をする生徒が多くいます。人間関係で衝突した次の朝、急に不安で胸がいっぱいになって登校することが出来なくなってしまうことが、人間関係のトラブルの一つの繰り返しているパターンともいえると思います。

 

3年生でもまだ行事に参加できない人たちは数人いますが、在籍を重ねる中で人間関係も自然に構築できて、クラスの中での生活が苦痛ではなくなる日が必ず来ることが多いので、無理のないペースで登校を続けることが大切です。

 

しかしながら、人間関係がうまくいくともうひとつ踏み込んだ友人関係を要求するので、距離感や人間関係のタイミングなどをうまく測れない人たちは、時折トラブルを起こしてしまう傾向があります。そして今まで培った誤学習から自分に同情してもらいたい、自分の気持ちをわかってほしい、複数の人間関係から1対1の関係を求めて、その関係においては唯一無二の存在でないと我慢できない人が多いように思います。友人関係でも、異性との関係でも自分だけを見てくれないとだめなのです。その感情が抑制できないので問題行動をわざと起こして注目を相手から受けようとします。そのようなことをすればするほど人の気持ちは離れていきます。そのことがわからないのです。

そしてほとんどの生徒の皆さんは小学校、中学校在学中に不登校やいじめを経験しています。それが継続することによって強迫性障害や統合失調症傾向、拒食過食などの2次的な情緒の混乱に悩んで医療機関に通院している人も少なくありません。学力面での問題に起因する場合もありますが、人間関係のつまずきに起因するケースが非常に多くなっています。最近の中学生、高校生の生徒の実例で言うとSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のやり取りの中でトラブルを起こしてしまうケースを多く聞くようになりました。

 

最終的に社会参加がバンブー教室の生徒の皆さんの大きな課題になります。その課題を乗り越えるには、人との関係性の克服であり、コミュニケーションも含めたソーシャルスキルの獲得に集約されてきます。

 

生徒の皆さんの中には、言語性が低く自分の気持ちをうまく相手に伝えられない特性を持っている人たちが多くいます。コミュニケーションに関しても、一方的で、自分の主張や言いたいことに終始して、相手の気持ちを理解しようとしないことも特徴の一つだと言えるでしょう。

 

もともと傷つきやすく、他人に嫌なことをされたり言われたりしたことは決して忘れません。それどころか時折、思い出してパニックになってしまうのです。フラシュバックと言われている状況もこのようなことだと思います。自分の部屋にこもり、嫌なことを思い浮かべて悶々としている時間と利用時間が重なっているので、学校での人間関係のトラブルやクラスメートの不満や自分にとって許しがたい行為をされた場合、SNSを使って自分の言いたいことを一方的に送りつけてストレスを解消しようとする人が多いようです。

 

特に彼らは他の人たちや自分の打った文章が、他の人からどのように理解されるかを考える余地もありません。自分の意見だけ一方的に主張します。それが拡散するので、当然のようにまわりとの確執を生みます。それが人間関係の大きなトラブルになっているケースが非常に多いのです。いじめにつながることや人間関係の不安につながり情緒の混乱を招くケースは、少なくありません。

 

そうであるならば、それぞれの家庭で安全なスマホの利用の仕方を話し合い、正しく利用できるような約束事を作ってほしいと思っています。家庭内での話し合いが、ネット利用の安全意識を高めると言われており、保護者と本人でそういう時間をつくることがスマホ利用の原点だと認識されています。

 

 

自然学園学園長 小林 浩

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