バンブー教室:バンブーだより7月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3
2025年7月6日
4,認知機能の凸凹により学習課題ごとに生じるつまずきの対処方法やその支援について
算数に関するつまずきで言うと、流動性推理の指標であるバランスやワーキングメモリの補助指標である下位検査の「算数」など量的推理指標(QRI)のバランスの悪さを読み取ることで、数処理をはじめとして、数の概念・量的関係を理解する能力、いわゆる基数性や序数性に関する理解の弱さを考えることができます。このつまずきは、計算能力や文章題などを解くことの苦手さに結びついています。
このようなつまずきを補う支援としては、次のような支援が考えられています。数処理など数と量を結びつけて数をイメージする力が弱い人には、おはじきやブロックなど具体的なものを使って数えることで、その結びつきが理解しやすくなります。また、数を数えるときに声に出して、物と数の1対1の対応を意識させていくことも支援の1つです。さらに、長さや重さなどの数量を理解する感覚を補助するためには、イラストや写真、絵などで物のイメージを強化し、図や表で量の大きさ、長さ、重さなどを視覚化し数量をとらえる支援も有効です。
国語に関してのつまずきで言うと、言語理解の指標である下位検査の「単語」が弱い人は、ことばの意味を理解する力や語彙力、表現する力が弱いことが多く、文章を読んでその内容を正確に理解することが難しいです。知的な問題を抱えている可能性もあります。問題の意味がわからないことで勉強に対する意欲が欠落してしまうケースも考えられます。
下位検査の「類似」が低くい人は、指示代名詞・人称代名詞や抽象的な言い回し、心が読み取りづらく、示唆するような文章や例え(暗喩・隠喩)などが多い文章には難解さを示します。
ワーキングメモリの下位検査の指標である「数唱」が弱い人は、文章を読んで、頭の中で音韻として変換された声を短期の記憶として保持し続けることが苦手で、読んだ文章を整理しながら考えをまとめ、そこに書かかれている物語の展開や主人公の気持ちの移り変わり、他の登場人物の交わりなどを理解し、文脈の全体像をイメージしながら読み進めることが弱い人です。そのため、指示された文章の指示代名詞から文章全体の内容を把握したうえで答えとなるべき文章を見つけ出し、出題の条件に合わせてまとめていく作業や処理が極めて困難になります。ですから、このような指標が低い人は読解問題や作文が苦手な人がほとんどです。聴覚のワーキングメモリの補助指標である下位検査の「語韻整列」も同じようなつまずきが読解問題で生じていると考えられます。
読解が苦手な人たちのための支援としては、視覚や聴覚から情報が得られるビジュアルサポートが有効になります。場面が切り替わる段落ごとに、登場人物の言動や気持ちの移り変わり、状況・背景の変化などを絵カード、図表、動画など視覚サポートで理解を促しながらワークシートでまとめていきます。そのワークシートを見ながら意見を整理し、解答の条件を満たすための答案づくりを一緒に読み上げたり、ディスカッションしたりしながら取り組んでいきます。まずは、このようにして読解問題は苦手だから取り組まないという意識を払拭させていきます。
このように勉強が苦手で学力不振でお悩みになっているお子様や特別支援教育を必要としているお子様は、以上のような認知機能の凸凹から勉強が苦手になっています。知能検査であるWISC-Ⅴの検査の結果から、学力不振の原因や対処方法が見つかる可能性が高いと思います。勉強に取り組むためのきっかけのためにもWISC-Ⅴをまだ受けていない人は検査を早い段階で受けることをお勧めします。自然学園バンブー教室ではWISC-Ⅴの検査を実施しています。ご予約制ですのでお気軽にお申し込みください。